本研究は、難治性皮膚潰瘍に対するより有効な積層細胞混合シート移植療法の開発を目的とする。我々は、これまでに、治療効果の増強や移植する細胞シートの扱いやすさの改善を目指し、独自の方法で作製した積層細胞混合シートのマウスモデルにおける治療効果を検討してきた。積層細胞混合シートのconditioned mediaは、単層細胞混合シートのconditioned mediaと比較して、これまでのin vitro解析において、高い血管新生作用があるという結果を得ており、今回は、in vivoの解析を検討した。 マウスの皮膚潰瘍モデルでの治療効果の検討では、創傷治癒早期において積層細胞混合シート治療群と単層細胞混合シート治療群の創傷治癒率は同程度であったが、細胞シート移植後21日目の組織学的解析において、血管内腔面積と微小血管密度は積層細胞混合シート治療群は、単層細胞混合シート治療群に比べ大幅に増加していた。本研究により、積層細胞混合シートは難治性皮膚潰瘍に対する有用な治療法となる可能性が示された。
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