令和3年度は圧測定を施行した症例について、術後CTデータをもとに検討を行った。 症例収集に難渋し、2017年以降、発症より1年以上経過した慢性大動脈解離に対し8例のTEVARを施行した。このうち圧測定が不適であった破裂症例、腎機能低下症例を除外し、3例で圧測定を施行した。これに2016年に圧測定を施行した1例を追加した4例について評価した。 4例のうち瘤径は2例が縮小、2例が著変なしであった。術中に測定した圧に関し収縮期圧、脈圧について評価した。変化なし群では収縮期圧、脈圧ともに一定の傾向は見られなかった。一方、縮小群のうち偽腔のcomplete exclusionが得られた症例では脈圧は著明に低下したが、収縮期圧の変化は乏しかった。圧変化は緩徐に生じる可能性があると考えられた。 慢性大動脈解離に対するTEVAR後の大動脈リモデリングについて、この結果と併せ、「Efficacy of thoracic endovascular aortic repair for late chronic aortic dissection with aortic remodeling」として2021年9月のヨーロッパIVR学会(CIRSE:Cardiovascular and Interventional Radiological Society of Europe)への演題投稿をおこない、acceptの結果を得た。
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