研究課題/領域番号 |
17K10763
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研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
川人 宏次 自治医科大学, 医学部, 教授 (90281740)
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研究分担者 |
木村 直行 自治医科大学, 医学部, 教授 (20382898)
中村 匡徳 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (20448046)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 大動脈二尖弁 / 壁せん断応力 / 血管内皮細胞 / 血管平滑筋細胞 / 細胞間接着分子 |
研究実績の概要 |
大動脈二尖弁症例の異常血流が大動脈壁に及ぼす生体反応の解明を目指し、2021年度は、首都大学東京坂元尚哉准教授研究室と共同で基盤研究となるin vitro実 験を施行した。上行大動脈壁への噴流血流がもたらす血行力学因子と大動脈拡大・解離との関連を検討するため、血行力学因子の組み合わせが血管内皮細胞に及ぼす影響の解明を目的とし,培養内皮細胞に衝突噴流を負荷した.壁せん断応力と法線方向動圧が共に増加する領域で細胞間接着分子 PECAM-1 の発現低下が確認されたが,それぞれが単独で作用する領域では PECAM-1 の発現低下は確認されなかった.血管内皮細胞に対して,壁せん断応力と法線方向動圧の組み合わせ環境が大きな影響を持つことが示唆された(2022年1月12日 第32回バイオフロンティア講演会で発表)。 また、高壁せん断応力が内皮細胞と共培養した血管平滑筋細胞の表現型へ及ぼす影響を解明するため、血管壁を模擬した内皮―平滑筋細胞の共培養モデルを収縮型に表現型制御した平滑筋細胞を用いて構築し,高壁せん断応力が平滑筋細胞の表現型転換に及ぼす影響を検討した。高壁せん断応力負荷用に開発された平滑筋細胞を含む圧縮コラーゲン組織を表現型制御培地で7日間培養し,平滑筋細胞の収縮型分化を促した.組織上に内皮細胞を播種し1~2日間培養した後,2Paまたは20Paの壁せん断応力を24時間負荷した。その結果,静置培養および2Paに比べ,20Paの壁せん断応力負荷により,収縮型平滑筋細胞マーカータンパクであるαSMAおよびCalponin1発現の低下を確認した.本研究結果は生理的な値より非常に高い壁せん断応力が血管平滑筋細胞の表現型転換を引き起こす可能性が示唆された(第61回生体医工学会で発表予定)。
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