研究課題
初年度の研究において、ヒト急性大動脈解離の術中血管組織において特に中膜でPCSK9が過剰発現していることを確認した。同様の検討をマウス大動脈解離モデルを用いて行い、PCSK9が中膜の平滑筋細胞由来であることを解明した。更に、PCSK9の分泌は特に合成型平滑筋細胞由来であることを解明し、その結果を論文化し、掲載された。昨年度は、いまだ実現されていない動脈瘤における薬物療法にも着目し、PCSK9をはじめとする循環器系薬剤を中心にその可能性について考察、論文化し、掲載された。今年度は前2年間の研究結果を受け、PCSK9の抑制が結果的に炎症の抑制につながることで大動脈解離の発症を抑制したと考えた。そこで、一部の凝固因子の抑制も結果として炎症反応抑制につながることに着目し、抗凝固療法はin vivoモデルの検証において、血栓の増大、血管組織の炎症反応を抑制することによって、生存率を改善することが示唆された。これらの結果は抗凝固療法が大動脈解離に対する潜在的な治療標的となる可能性を強く期待され、現在論文化している。
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