研究分担者 |
木村 直行 自治医科大学, 医学部, 教授 (20382898)
田岡 誠 日本大学, 医学部, 助教 (20814213)
大幸 俊司 日本大学, 医学部, 助教 (20748149)
板垣 翔 自治医科大学, 医学部, 講師 (40639035)
宇野澤 聡 日本大学, 医学部, 助教 (60451324) [辞退]
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研究実績の概要 |
本研究では日本大学と共同研究機関である自治医科大学の臨床研究倫理委員会の承認の元、急性大動脈解離発症後の免疫応答を解明する研究を急性期免疫応答に関与する好中球を中心に実施した。 緊急手術を施行した急性A型大動脈解離症例466例の臨床データを使用した研究を行なった。大動脈解離の末梢側進展範囲に基づき白血球(WBC)値の分布を解析したところ、WBC値の中央値[四分位範囲](×103 /μl) は、上行大動脈限局群:10.4 [8.1, 13.9]・腹部大動脈伸展群:11.1 [8.2, 13.7]・腸骨動脈進展群:13.3 [9.8, 15.9] (p<0.001)と有意差を認め、大動脈解離の形態が末梢血WBC増多に影響を及ぼす可能性が示唆された。さらにWBC:11.0×103 /μlをcut-off値として、入院時WBC値よりWBC上昇群(n=255)と非上昇群(n=211)に分類し、WBCが治療成績に及ぼす影響を調査した。WBC上昇群は非上昇群に比べ、高齢(中央値:68.3歳 vs. 62.3歳, p<0.001)であったが、臓器潅流や循環動態に差はなかった。血液データでは、Dダイマー濃度がWBC上昇群で増加していた(中央値:30.1ng/mL vs.18.0mg/mL, p=0.005)が、PT-INR・APTT値に差はなく、在院死亡率はWBC上昇群:7.5% vs. WBC非上昇群:10.9%と同等であった(p=0.19)。本研究成果は、第47回日本血管外科学会学術総会(令和1年5月名古屋)で発表するとともに、学術論文(PLoS One. 2020 Feb ;15(2):e0228954)で報告した。 さらに大動脈瘤破裂に基づく心不全が、急性A型解離の凝固障害の発症に及ぼす影響を解析し、本研究成果は、第48回日本血管外科学会学術総会(令和2年11月東京)で発表した。
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