研究課題
IgG4関連疾患は,血清IgG4の上昇とIgG4陽性細胞の浸潤を特徴とし,血管では外膜の肥厚を伴う動脈瘤(IgG4-AAA)を呈する場合が多い.Matrix metalloproteinases(MMP)は細胞外基質を分解し動脈瘤拡大に関わる.IgG4-AAAにおける外膜MMP発現やその臨床病理学的意義は不明であり,今回検討した.外科標本のIgG4-AAAs(19例),対照群として非IgG4関連IAAA(18例),動脈硬化性AAA(11例),剖検例(11例)を用い,免疫組織化学,dual mRNA ISHにて,外膜のMMPs,MMPs提示細胞を評価し,術前血清MMP値,臨床病理像組織像を比較した.外膜のMMP-9,MMP-2,MMP-14の発現は,対照群よりもIgG4-AAAで有意に高く,他のMMPs発現は乏しかった.MMP-9陽性細胞総数は,動脈瘤直径,外膜肥厚,IgG4陽性細胞数と正の相関を示した. MMP-9提示細胞は,リンパ濾胞内では,主に濾胞樹状細胞であり,次いで組織球,線維芽細胞,形質細胞性樹状細胞であり,リンパ濾胞外では,線維芽細胞と組織球であった.濾胞樹状細胞,組織球,形質細胞性樹状細胞に由来するMMP-9は,IgG4-AAAが対照群よりも有意に高かった.外膜のMMP-2とMMMP-14提示細胞はリンパ濾胞外の組織球と線維芽細胞であった.血清MMP-9は,対照群よりもIgG4-AAAsで有意に高く,血清IgG4,外膜MMP-9陽性細胞総数と相関した.外膜において,リンパ濾胞に関する多種類の免疫細胞でのMMP-9産生はIgG4-AAAにおいて特徴的であり,動脈瘤の拡張と外膜肥厚を伴う IgG4-AAAの活動性との関連が高いが,MMP-2とMMP-14の発現はIgG4-AAAの活動性との関連は低いと考えられた.
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