研究実績の概要 |
平成30年度は、肺腺癌臨床検体239切除例において、Arf6経路として示された5分子Grb2, GEP100, Arf6, AMAP1,EPB41L5それぞれの発現強度と、EMT活性化レベルや臨床病理学的な特徴およびEGFRやp53を含む主要な遺伝子異常を要素とした生存時間分析を行った。以下の成果を得て、研究会で発表することができた。これらのArf6経路に含まれる5分子の発現陽性率は、全症例ではGrb2:13.8%, GEP100: 27.3%, Arf6: 56.3%,AMAP1:58.4%、EPB41L5:63.4%であった。またEGFR変異型による陽性率に有意差はみられなかった。これら5分子の発現は、特にEGFR遺伝子変異陽性肺癌において、有意に再発のリスク因子となっていた。 ハザード比は、Grb2:3.528、GEP100:2.484、Arf6;1.927、AMAP1;2.825、EPB41L5:2.087。これら5分子による多変量解析では、全生存期間に対してGrb2とAMAP1が、無再発生存期間に対してGrb2がそれぞれ独立した有意な因子であった。 Grb2とAMAP1の陽性症例は、有意に予後不良であった。これらの結果、特にEGFR遺伝子変異肺腺癌において、Arf6経路の活性化が再発に有意に関連することが示された。
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