研究課題/領域番号 |
17K10782
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
園部 誠 京都大学, 医学研究科, 准教授 (00432378)
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研究分担者 |
毛受 暁史 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), その他 (30527081)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | ビノレルビン / 遺伝子発現 / 耐性化メカニズム |
研究実績の概要 |
平成29年度は、ビノレルビンに対する耐性化メカニズムに関して、さらなる解析を行い、論文発表することができた。 我々は、前年までの研究の結果、肺癌細胞株においてビノレルビン長期投与による、薬剤耐性化株を2株作成した。それらの網羅的遺伝子発現解析から、標的となるPathway、遺伝子を見出し、実際にABCB1とFocal Adhesion経路であるIntegrin-Src Family Kinase(SFK)経路が耐性化のメカニズムであることをin vitro実験により証明した。 今年度は、さらにDasatinibやSaracatinibといったSFKを標的とした既に製薬化されている薬剤を使用して、この経路の阻害が、耐性化克服に有効であることを特に細胞外基質Ⅰ型コラーゲンでコーティングされたdishを用いることで示した。 またSFKsの中でも発現量の多い、c-SrcとFynに関して区別して、発現量を解析およびsiRNAによるKnockdown実験を施行し、特にFynにおいて、顕著な効果を確認した。この解析を追加することで、結果をCancer Medicineに発表することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
肺癌の臨床で高頻度に使用される薬剤であるビノレルビン耐性化のメカニズムを発見、論文発表を行うことができた。また製薬化済みの薬剤を用いた耐性化克服も可能であることを示すことができ、臨床応用の実現性が高まった。我々の臨床データを用いた検討で、ビノレルビンを術後補助療法として使用した肺癌切除症例に対するSFKリン酸化発現の程度による両群の予後に違いが認められなかった点は、今後の検討課題である。
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今後の研究の推進方策 |
臨床的予後の相違を確認できなかった点をさらに検討する。臨床検体を使用して、pSFK発現の免疫染色を行い、その発現量を定量したが、有意な結果は得られなかった。in vitro実験で確認できたようにcSrcとFynのknockdownによる耐性化克服の程度に相違が見られた点からも、SFKの中でもさらに個々の分子に絞った解析が必要と考えられた。そのため、同一のコホートを用いた免疫染色をFynに限定した発現量解析を行い、予後などの臨床情報を比較する予定である。
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