研究課題/領域番号 |
17K10792
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
中村 勝也 九州大学, 医学研究院, 共同研究員 (60585743)
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研究分担者 |
中村 雅史 九州大学, 医学研究院, 教授 (30372741)
大西 秀哉 九州大学, 医学研究院, 准教授 (30553276)
三好 圭 九州大学, 大学病院, 助教 (70755272)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 肺NET / TrkB / BDNF / Hedgehogシグナル / 増殖能 / 浸潤能 / 新規治療法開発 / 悪性形質誘導 |
研究実績の概要 |
本年度は、TrkB/BDNFシグナルあるいはHedgehog(Hh)シグナルの構成分子発現を肺NET切除標本を用いて解析した。その結果、TrkB/BDNFシグナル、Hhシグナルは、正常細胞に比べて、癌細胞において発現が亢進していることが示唆され、標的とする特異性が確認できた。また、間質性肺炎組織では、正常細胞に比べて発現が亢進する傾向が認められ、診断のバイオマーカーとなるかどうか、症例数を増やして現在、解析を継続中である。また、TrkB/BDNFシグナル、Hhシグナルのクロストークに関与する分子の候補として、分子Aなど3種類の分子を同定して、それら分子の抑制系、刺激系を作成して肺NETにおける増殖・浸潤・腫瘍形成能をIn vitroで現在解析を進めている。 また、さらに研究を発展させ、TrkB/BDNFシグナルが、他癌腫である浸潤性胸腺癌に及ぼす生物学的意義の解析を行い、TrkB/BDNFシグナル経路が浸潤性胸腺癌において、特に増殖能に関与しており、浸潤性胸腺癌の新規治療標的分子となり得ることが新たに示唆された。さらに、TrkB/BDNFシグナル経路が診断や予後のバイオマーカーとなり得ることも示唆され、以上結果を論文として現在投稿中である。 また、内分泌癌の一つで、難治性癌である膵癌においても、TrkB/BDNFシグナルが、増殖・浸潤に関与し、新たな治療標的分子となり得ることが示唆され、結果をまとめているところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
浸潤性胸腺癌、膵癌におけるTrkB/BDNFシグナルの生物学的意義を新たに見出し、TrkB/BDNFシグナルを標的とした肺NETを含む包括的肺がん治療開発に寄与できていると考える。
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今後の研究の推進方策 |
TrkB/BDNFシグナル、Hhシグナルのクロストークに関与する候補分子の解析を続ける。また、癌腫を増やして検討を行い、TrkB/BDNF-Hedgehogシグナル経路が関与している癌腫をさらに新たに見出し、マウスを用いて治療実験を中心に行いたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度は、実験で安定した結果が得られ、再現性確認の実験が少なくて済んだため、予定していた抗体や薬剤の使用量が少なかったので、次年度に回すことができた。次年度は、癌腫を増やして検討を行い、TrkB/BDNF-Hedgehogシグナル経路が関与している癌腫をさらに新たに見出し、マウスを用いて治療実験を中心に行う予定である。
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