研究課題
本研究は、肺癌抗体治療のターゲット分子におけるスプライス異常と治療効果との分子生物学的相関についての検討であり、肺癌の実臨床で使用開始となった抗PD-1抗体、抗PD-L1抗体の治療効果とPD-1、PDL-1におけるスプライスバリアントとの関連を検討した。平成29、30年度は、肺癌細胞株20種と肺癌臨床検体40検体を用いて、PCRによるスプライスパターンを検討した。PD-1は、全例で抗PD-1抗体のエピトープ部分を含むvariant aを認めたが、一部の症例でdが混在していた。PD-L1は、単独のvariantの症例はなく、全例で様々なvariantが混在していた。PD-1のvariant aのみであった症例の頻度と、非扁平上皮非小細胞肺癌を対象とした第Ⅱ相試験におけるNivolumabの奏効率は近似しており、dが混在することでNivolumabが効かなくなる可能性が示唆された。平成31年度は、非小細胞肺癌に対して抗体療法を行った29症例の、治療前、治療後の血液検体を用いてPCRによるスプライスパターンを検討した。PD-1の結果は、抗PD-1抗体のエピトープ部分を含むaを一部の患者検体で認めなかった。また、CRならびにPR検体において他の検体と比べ特徴的なvariantの存在は、オブジーボ投与前後においても認められなかった。PD-L1の結果は、全長であるaを認識するプライマーではすべての患者検体で検出された。しかしCR検体ならびにPR検体と他の検体との間で相違がみられるvariantの発現は、投与前後においても検出されなかった。本研究により、抗体療法Nivolumabの治療効果に、PD-1/PD-L1の選択的スプライシングが関与していないことが確認され、抗体療法の治療効果予測因子の探索において、今後の研究分野を限定することができたことは、学術的、社会的意義があった。
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