研究実績の概要 |
我々はMMP-9、MMP-13などのメタロプロテアーゼを抑制することによりT細胞の組織への浸潤を抑え、気管移植後の拒絶反応を抑えるという仮説と、移植後の拒絶反応においてADAM28が高発現していることを示し(予備実験で確認済み)、ADAM28の制御により拒絶反応を抑制することができるという仮説を検討した。さらに人工酸素運搬体投与によりグラフトの組織酸素濃度を増加させることによりMMP, ADAMの発現を制御し拒絶反応を抑制するという仮説を検討した。マウス気管移植モデルにおいて、allograft ではMMP-9, MMP-13のm-RNAがIsograftに比して高発現していた。タンパクレベルでもwestern blottingにおいて同様の結果を得た。MMP阻害薬であるGM6001の投与によりallograftにおいてMMP-9, MMP-13の発現は抑制されていた。また組織学的な拒絶反応、T細胞の浸潤、IFN-γ、IL-2のm-RNAの発現も低下していた。人工酸素運搬体の投与によりAllograftでの拒絶反応抑制、T細胞の浸潤の低下を認めた。T細胞は低下していたが、Foxp3 mRNAは増加していた。マウス気管移植モデルにおいて、MMPの抑制を介して拒絶反応の抑制を認めることが出来た。フローサイトメトリーによる検討では、isograftとallograftでのT細胞の特徴を検討した。制御性T細胞はisograftでは割合が減少していなかったのに対し、allograftでは制御性T細胞の割合が減少していた。
|