研究課題/領域番号 |
17K10801
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
河野 光智 東海大学, 医学部, 准教授 (10276272)
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研究分担者 |
岩崎 正之 東海大学, 医学部, 教授 (90223388)
増田 良太 東海大学, 医学部, 准教授 (10408057)
中川 知己 東海大学, 医学部, 准教授 (30439707)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 肺癌 / 凍結融解壊死療法 |
研究実績の概要 |
悪性肺腫瘍に対する凍結融解療法をさらに低侵襲で安全に行うため、経気管支的凍結療法の有効性と安全性を動物実験で評価した。ブタを用いた経気管支的凍結療法の実験的検討を行った。凍結機器はCRYOcare Cryosurgical Unit(Endo-care, Irvine, CA, USA)を使用した。経皮的穿刺用プローブを用いて経気管支凍結実験を行った。ブタに全身麻酔をかけ開胸し、肺門部で右主気管支からプローブを刺入し、末梢気管支へ誘導する。経気管支的に肺実質に対して凍結療法を臨床と同じ手技で行う。凍結と融解を3回繰り返し、プローブ周囲の温度分布と変化を連続的に記録する。凍結実験中、呼吸及び循環動態は安定していた。気管支や肺をひどく損傷することなく細気管支より末梢の肺実質まで径2.4mmのプローブの挿入が可能であった。冷却相では、アルゴンガスの高圧送気開始後、プローブ先端の温度は急速に低下し、2分以内に約-130℃となった。1回目の冷却は5分間、2回目と3回目の冷却は10分間、-130度を維持した。それぞれの冷却相の後の融解相ではヘリウムガスの送気により、プローブ先端の温度は20度まで急速に上昇させた。プローブの先端に接する位置(0mm)、6mm、12mm、18mm、それぞれ離れた位置の肺実質の温度変化を計測すると、プローブ自体の温度低下にやや遅れて肺実質内の温度低下が始まり、それぞれの最低温度(℃;mean ± SD)は-77.9 ± 5.9(0mm)、-56.4 ± 4.9(6mm)、-44.3 ± 3.3(12mm)、-10.3 ± 3.7(18mm)であった)。3回の凍結と融解の手技を繰り返す間に気道内への出血を認めなかった。末梢肺実質の凍結実験を安全に施行することができ、プローブの先端を中心として直径24mmの有効低温域が形成されることが確認できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ブタを用いた経気管支的凍結実験が、明らかな有害事象を起こさず、実現可能であることが確認でき、順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
詳細な温度測定を行うとともに、長期観察実験を遂行する。
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次年度使用額が生じた理由 |
凍結機器の不調により、実験の遂行がやや遅れたため。2018年度に凍結プローブの試作などに使用する。
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