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2019 年度 実施状況報告書

LAT1を標的分子とした胸腺癌における新たな治療戦略の開発

研究課題

研究課題/領域番号 17K10810
研究機関獨協医科大学

研究代表者

千田 雅之  獨協医科大学, 医学部, 教授 (70333812)

研究分担者 林 啓太朗  獨協医科大学, 医学部, 准教授 (10323106)
研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2021-03-31
キーワード胸腺癌 / 胸腺腫 / アミノ酸トランスポーター / スタチン
研究実績の概要

これまで、ヒト切除検体を用いた胸腺悪性腫瘍におけるLAT1発現の臨床的意義に付き検討した結果、WHO分類のtype AからB3までの胸腺腫にはLAT1の発現は認めず、胸腺癌にのみLAT1の発現を認めることからLAT1の発現は、胸腺腫と胸腺癌を鑑別する病理検査において有用なマーカーになりうること、LAT1発現パターンには膜型、細胞質型の2種類があり、膜型でその予後が悪いことを、論文報告した。今年度は多施設での検体でのvaridationを行うべく準備を行った。
また、今年度in vitroの解析において、LAT1の阻害よりもHMG-CoA還元酵素阻害薬スタチンが、胸腺癌細胞株の増殖を顕著に抑制することを見出し、論文報告した。スタチンは、メバロン酸合成経路の律速酵素であるHMG-CoA還元酵素を阻害してコレステロール生成を抑制することから、脂質異常症治療薬として汎用されている。一方で近年、スタチンがいくつかのがんに対して抗腫瘍効果を示すことが証明されている。今年度、胸腺癌患者の癌細胞におけるHMG-CoA還元酵素の発現が顕著に亢進している一方、正常胸腺上皮細胞ではほとんど認められないことを見出した。さらに、in vitroにおけるヒト胸腺癌細胞株の増殖がスタチンにより大幅に抑制されることもわかった。ところで、HMG-CoA還元酵素により生成されるメバロン酸からは、コレステロールの他にゲラニルゲラニル二リン酸(GGPP)などのイソプレニル基前駆体が生成され低分子GTPaseに結合して活性化(プレニル化)することでErkがリン酸化され、細胞増殖を亢進させる。我々はスタチンによる胸腺癌抑制はコレステロール合成阻害ではなく、プレニル化阻害に起因することも明らかにした

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

in vitroの実験においては予定以上に進行しアミノ酸代謝にとどまらず脂質代謝の丸薬生に及ぼす検討まで進むことができた。
臨床検体の解析では、有用な結果を得られ論文報告できたが、より多数の検体を用いたvaridationが必要と考えている。

今後の研究の推進方策

脂質代謝が胸腺癌細胞増殖に及ぼす影響を詳細に検討することと、臨床検体を用いたvaridationを進める方針である。

次年度使用額が生じた理由

臨床検体を用いた多施設検体によるvalidationの研究が時間を要しているため。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2020

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)

  • [雑誌論文] Fluvastatin prevents thymic carcinoma growth.2020

    • 著者名/発表者名
      Hayashi K, Nakazato Y, Morido N, Sagi M, Anzai N, Chida M.
    • 雑誌名

      Life Sci

      巻: 240 ページ: 117110-117110

    • DOI

      10.1016/j.lfs.2019.117110

    • 査読あり / オープンアクセス

URL: 

公開日: 2021-01-27  

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