研究実績の概要 |
【脳動脈瘤モデルの作製】 出血性脳疾患の動物モデルとしてはUniversity of California, San Franciscoとの共同研究で確立されたHashimotoモデルを用いた。片腎を摘出した後、マウスの髄腔内へエラスターゼを投与し、徐放性のデスオキシコルチコステロン(DOCA)を皮下に留置するとともに、飲水として1%食塩水を与えることで高血圧を発症させ、ウィリス動脈輪、中大脳動脈をはじめとする脳血管において中膜弾性板が破壊し、くも膜下出血が発症した。 【血圧測定】イソフルレン吸入麻酔下に軽度な麻酔を施行し、尾動脈を用いて非観血的に心拍数および収縮期血圧を測定した。個体ごとに経時的な変化を観察するために、片腎摘出前、エラスターゼ注入前、エラスターゼ注入から1週後、2週後そして3週後と測定を行った。片腎、食塩水、そしてDOCAによって高血圧が引き起こされ、エラスターゼ注入後1週間後の血圧は片腎摘出前と比べ約15%の上昇がみられた。 【脳動脈瘤の形成】マウス17匹を用いたトライアルにおいてエラスターゼ投与から3週間後の観察期間中、破裂脳動脈瘤の発症率は60%であった。これはUniversity of California, San Franciscoのバックデータと比べ適切な発症率であるが、本研究においては口腔内細菌による脳動脈瘤の増悪を目的としているため、発症率を若干低下させる方法が必要である。 次年度は徐放性のDOCAの適用量を減量するなどして再度脳動脈瘤モデルを作製し、破裂脳動脈瘤の発症率を検討する予定である。
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