研究実績の概要 |
我々は聖隷浜松病院との共同研究で全国の病院施設から集められた破裂脳動脈瘤500例、未発脳動脈瘤500例の臨床から得られた唾液サンプルを収集しており、現在、臨床でのデータ収集を終えたところである。この中で脳動脈瘤破裂に深い関与が認められているcnm蛋白陽性s. mutansが我々の仮説を支持するものなのかを検証準備を行っている。その中で破裂に関与が深いcnm陽性s. mutansを第一にとして、臨床由来の口腔細菌を動物に投与して評価をする予定である。今後は脳出血、クモ膜下出血、一過性虚血、脳梗塞、もやもや病および未破裂脳動脈瘤など脳卒中患者の中からどういった疾患に我々が仮説とする口腔細菌が検出されるのかを検討する。 また、LdlrおよびApobec1を欠損させたマウス(Ldlr-/-, Apobec1-/-)を用いることによって血中の脂質レベルを高くし、この動物に実験的に脳動脈瘤を誘導す ることによって、脳動脈瘤の発生および破裂の変化を検討した。陰性対照として用いたC57BL/6群は17匹中10例においてクモ膜下出血がみられた。一方、Ldlr-/-, Apobec1-/-群は28例中1例においてのみクモ膜下出血がみられ、10例に未破裂脳動脈瘤がみられた。よって高脂血症群のマウスの方が脳動脈瘤破裂を抑制するという結果が得られた。この原因を現在検討しているが、血管の膠原線維の量および質的なものが関与している可能性が示唆された。
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