研究実績の概要 |
エストロゲンは炎症反応の抑制などにより血管保護効果が報告され、閉経前後の女性に脳動脈瘤の破裂や頻度とエストロゲンとの相関している可能性が示唆されている。脳動脈瘤マウスモデルでエストロゲン投与により脳動脈瘤形成が抑制されたという報告も認めている。 近年腸内細菌が非常に注目されており大豆イソフラボンは腸内細菌でeqoulと呼ばれるエストロゲン類似物質へ代謝されることが報告され、我々はそこに着目してequolを直接マウスに投与することで脳動脈瘤の形成、破裂に影響を与えるか2017年度から2018年度にかけて確立した脳動脈瘤マウスモデルを用いて実験を行なった。equol投与群とコントロール群との比較試験ではequol投与群が有意に脳動脈瘤形成を抑制した結果となった(Equol群 vs コントロール群:53% vs 89%, P < 0.05)。 また脳動脈瘤破裂に関しては有意差は認めなかった。 さらにイソフラボンの一種であるDaidzeinを摂取した群とisoflavone free dietを摂取した群での脳動脈瘤の形成および破裂への影響に関する実験を2018年度から2019年度にかけて行なった。Daidzein投与群は有意に脳動脈瘤の形成を抑制する結果となった(Daidzein投与群 vs Isoflavone free diet投与群:52% vs 87%, P < 0.05)。また脳動脈瘤破裂に関しては有意差は認めなかった。以上の結果よりイソフラボンおよびその代謝物であるequolは脳動脈瘤の形成を抑制することがわかった。これらの結果として大豆およびその代謝物は血管保護効果により脳動脈瘤の発生を抑制する可能性が期待できると考えられる。
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