研究課題/領域番号 |
17K10828
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
亀田 雅博 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 助教 (50586427)
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研究分担者 |
安原 隆雄 岡山大学, 大学病院, 助教 (50457214)
田尻 直輝 吉備国際大学, 心理学部, 准教授 (80782119)
佐々木 達也 岡山大学, 大学病院, 助教 (80790865)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 実験脳外科学 / LTP / うつ病 / 認知症 / 脳性麻痺 |
研究実績の概要 |
本研究では、 我々がこれまで研究してきた電気刺激療法 (Shinko A, et al., PLoS One. 2014, Kameda M & Taylor CJ, et al., Transl Psychiatry 2012, Morimoto T, et al., Cell Transplant. 2010, Baba T, et al., STROKE 2009) を行うことで、内因性の神経幹細胞を活性化させ、脳が元来備え持つ組織修復作用を効果的に誘導することを目的としている。 全身麻酔下に両側頸動脈を露出させたのち、 両側頸動脈を永久結紮させ慢性低灌流モデルを作成した。 一般的にこのモデルは、軽度認知機能障害や血管性認知症モデルとして扱われている。モデル作成後の亜急性期より高頻度電気刺激を与えたところ、 海馬歯状回における神経新生が促進していた。 高頻度刺激を与えることで、 proliferationは促進したが、その中でもLTPが誘発された群ではneuronal differentiationも促進していた。ただし、この電気刺激効果は慢性期に実施しても同様の効果を得ることができなかった。 このように虚血負荷(慢性低灌流)後の生体がもつ組織修復作用を、高頻度刺激さらにはLTPを誘発させることでより効率的に誘導させることができると判明した。本研究のclinical fieldへの反映としては、軽度認知障害や血管性認知症といったものの進行増悪の予防には、早期からのLTPを誘発させるようなactivityを継続実施することが重要と考えた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
脳性麻痺・うつ病について、 十分な結果はまだ得られていないが、血管性認知症モデルに関しては、上述の結果が得られ、下記英文誌にて掲載されたため。 Long-Term Potentiation Enhances Neuronal Differentiation in the Chronic Hypoperfusion Model of Rats. Takeuchi H, Kameda M, Yasuhara T, Sasaki T, Toyoshima A, Morimoto J, Kin K, Okazaki M, Umakoshi M, Kin I, Kuwahara K, Tomita Y, Date I. Front Aging Neurosci. 2018 Feb 15;10:29. doi: 10.3389/fnagi.2018.00029. eCollection 2018. PMID: 2952716
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今後の研究の推進方策 |
脳性麻痺モデルやうつ病モデルに対するデータ収集を進めていくが、まずは、脳性麻痺モデルに関する実験を優先させたい。成体ですでに経験ずみであるが、severeすぎる虚血が作成されると、 電気刺激を与えてもfield potentialが得られないため、neonateを用いた脳性麻痺モデルに対する電気刺激実験を実現するための虚血負荷時間や低酸素の濃度として妥当なparameterを比較検討し確立させたい。そのうえで、成体と同様に組織学的評価を行い、神経新生について検討を加えることで、脳が元来備え持つ組織修復作用を電気刺激療法により効果的に誘導することができるかどうか検討したい。
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