研究課題
脳動脈瘤破裂予防に対する有効な薬物治療法はこれまでに報告されていなかった。申請者らは独自に確立したエストロゲン欠乏脳動脈瘤ラットモデルを確立し、様々な薬効の承認薬を用いて薬物治療効果を検討した結果、降圧薬のミネラロコルチコイド受容体阻害薬の有効性を見出し、臨床においてパイロット試験を行い、9㎜以下の未破裂脳動脈瘤に対して破裂抑制効果が認められることを初めて報告した(J Stroke Cerebrovasc Dis, 2018)。一方、破裂抑制効果のメカニズムについては詳細な検討が必要である。近年新たに確立した脳動脈瘤破裂モデルにおいて、破裂にはIL-1β, MMP-9が関与していることを報告している。IL-1βの活性化、炎症反応が誘導されるためにはinflammasome(NLRP3, ASC, Casp-1の複合体)の活性化が生じることから、本研究では脳動脈瘤破裂とinflammasomeとの関連性を明らかにする。次いでinflammasome活性化に対するエストロゲン受容体αあるいはβの役割について検討を進めることとした。現在、脳動脈瘤破裂およびモデルにおいて破裂好発部位では脳動脈瘤誘導6週後にはinflammasome構成分子NLRP3の高い発現が認められることを確認できている。
2: おおむね順調に進展している
再現性のある脳動脈瘤破裂モデルが誘導され、破裂好発部位でのinflammasome構成分子NLRP3の高い発現を確認できている。また破裂好発部位でのIL-βやMMP-9 の発現も確認できている。
破裂好発部位でのinflammasome構成分子NLRP3やIL-βやMMP-9 の発現とエストロゲン欠乏状態との関連性や、エストロゲン受容体発現との関連性を明らかにするための検討を行う。成果発表のため、国際学会参加や英文雑誌への投稿・掲載に努める。
(理由)実験の結果が予測されたものと異なったため、購入物品の変更とその必要期間の変更が生じたため。(使用計画)試薬等の物品費として次年度の研究にて使用する。
すべて 2018 2017
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 2件)
Stroke Cerebrovasc Dis
巻: - ページ: -
10.1016/j.jstrokecerebrovasdis.2018.03.008
Journal of Neuroinflammation
巻: 14 ページ: -
10.1186/s12974-017-0966-7