研究課題/領域番号 |
17K10854
|
研究機関 | 兵庫医科大学 |
研究代表者 |
高木 俊範 兵庫医科大学, 医学部, 助教 (00452152)
|
研究分担者 |
内田 和孝 兵庫医科大学, 医学部, 助教 (10570674)
吉村 紳一 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (40240353)
白川 学 兵庫医科大学, 医学部, 講師 (50425112)
中込 隆之 兵庫医科大学, 医学部, 准教授 (80434950)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | ヒト脂肪由来幹細胞 / 間葉系幹細胞 / 脳出血 / 神経保護 |
研究実績の概要 |
当科ですでに脳梗塞治療のためにその分離培養法を確立している、ヒト脂肪由来幹細胞を用いて、本研究を開始した。まずはddYマウスおよびC57BL/6マウスを用い、コラゲナーゼ誘発脳出血モデルを作成したところ、C57BL/6の方が障害が安定していたため、以後の実験はC57BL/6を用いて行った。 次に脳出血モデルマウスにおけるヒト脂肪由来幹細胞の有効性を検討した。 全身麻酔下にコラゲナーゼ誘発脳出血モデルマウス(C57BL/6)に対し、脳出血誘導24時間後にヒト脂肪由来幹細胞の静脈内投与を行った。またコントロール群として溶媒投与群を設定した。経時的に神経症状を観察した後、慢性期に神経行動学的な評価を行った。神経行動学的評価ではオープンフィールドテスト、オープンスペース水泳テスト、回避学習試験において、脳出血による神経行動学的な増悪がヒト脂肪由来幹細胞の静脈内投与により改善を認めた。オープンフィールドテストは活動性・衝動性・記憶を評価できる試験であり、オープンスペース水泳テストは運動機能と活動性を評価できる試験であり、受動的回避学習試験は記憶ならびに学習を反映している。これらの結果は、脳出血により悪化する高次脳機能障害ならびに運動機能障害を、ヒト脂肪由来幹細胞の投与が改善する可能性を示していると考えれれる。 本年度では、引き続きそのメカニズムの検討を予定していたが、動物実験施設の移転に伴う動物実験の中止により行えなかった。また同様のメカニズムをIn vitroで検討を試みたが、細胞培養とそれに引き続く脳出血に準ずる活性化が上手く再現できなかったために断念した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は、ヒト脂肪由来幹細胞の静脈内投与が、脳出血後の神経障害を改善することが示せたので、意義のある結果である。 しかしその後のメカニズムなどの検討に関しては、本学の動物実験施設の移転による動物実験の中止ならびに再開の遅れにより、再開できていない。メカニズムの検討をIn vitroで代用すべく考えていたが、細胞培養と脳出血に相当する刺激による活性化が上手く進まなかったため、結果的に断念した。 次年度からは順次動物実験自体は再開できる手はずとなっており、5月には再開できる見込みである。
|
今後の研究の推進方策 |
今後の研究に関しては、本年度に予定していたマウス脳出血モデルに対する脂肪由来幹細胞による神経再生および神経根ネットワーク形成の評価、つまりメカニズムの評価から行っていく。手法としては、免疫学手法にて検討する。 こちらの検討が上手く進めば、残りの課題であるh細胞規格の設定や安全性試験へと進む。
|
次年度使用額が生じた理由 |
動物実験施設の移転により、実験が遅れたため次年度使用が生じた。 次年度の動物実験の消耗品などの購入に使用予定である。
|
備考 |
今後、本研究結果を特許として出願を予定している
|