研究課題/領域番号 |
17K10856
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
園田 順彦 山形大学, 医学部, 教授 (90302140)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 膠芽腫 / 遠隔再発 / 腫瘍幹細胞 / CD133 / SVZ |
研究実績の概要 |
山形大学附属病院で腫瘍摘出術を施行された膠芽腫症例64例の臨床情報を収集した。検討項目は①年齢②性別③腫瘍の部位④腫瘍摘出率⑤無増悪生存期間⑥全生存期間⑦再発形式とした。腫瘍の発生部位を術前のMRI画像よりUCSF分類4型(type1 脳室近傍と皮質に局在、type 2 脳室近傍にのみ局在 type 3 皮質のみに局在 type 4 どちらにも存在しない)に分類した。再発の形式も局所再発、遠隔再発をさらに2型ずつ、局所摘出腔周囲、局所浸潤、遠隔浸潤、遠隔髄腔内播種にわけて検討をおこなった。発生部位はUCSF type 1 16例 type 2 16例 type 3 11例 type 4 11例に分類された) 結果として遠隔再発は14例に認めた。 腫瘍の発生の部位と全生存期間には相関関係を認めたが、腫瘍の発生部位と再発形式には明らかな相関を認めなかった。このデータを東北大学附属病院において腫瘍摘出術を施行された133例のデータと比較を行ったが、ほぼ同様の結果であり、腫瘍が脳室近傍と皮質に存在しているtype 1の全生存期間は16か月に対し、皮質に限局しているtype 3は25か月と統計学的有意差を認めた。続いて腫瘍組織標本を持いてSOX2 Cd133の抗体を用いた免疫染色をおこなった。現在染色は終了し今後陽性率の判定を行う予定となっている。また腫瘍凍結組織よりDNAを抽出し、既知の膠芽腫の発生に関与している遺伝子について変異の解析を行った。結果68例中3例にIDH1遺伝子の変異を、2例にH3F3遺伝子の変異を認めた。IDH変異例に遠隔再発例はいなかったが、H3F3遺伝子変異例はいずれも遠隔再発を来たしていた。現在TERTプロモーター変異について解析を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
臨床情報に関してのデータはほぼ予定通り収集することが可能であった。目標症例は100例であり実際は65例とやや不足したが、東北大学より120例の臨床情報が得られたため十分は情報を得ることが可能であった。免疫染色の進捗がやや遅れておりこれから解析を進める予定であるが、逆に平成30年度以降に解析予定であったDNA解析は予定より早く進捗しておりDNA抽出が終了し、2つの候補遺伝子の解析を終了することができた。
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今後の研究の推進方策 |
免疫染色は平成30年度中に解析を終了すると考えている。計画上今年度は、DNA抽出後PI3K-AKT経路に関して次世代シークエンサーを用いた網羅的解析をする予定となっていたが、今回H3F3のような候補遺伝子を発見することができたので、まずそれらの解析を症例数を増加し検討する予定とした。症例に関しては東北大学からの供与を予定しており今年度中に解析を開始する予定である。
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