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2018 年度 実施状況報告書

脊髄グリオーマの遺伝子解析と新規治療標的の探索

研究課題

研究課題/領域番号 17K10857
研究機関東京大学

研究代表者

田中 將太  東京大学, 医学部附属病院, 助教 (80643725)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワードグリオーマ / 脊髄 / 遺伝子解析
研究実績の概要

小児のびまん性橋グリオーマに代表される正中に発生するグリオーマを特徴づける遺伝子異常は、ヒストンH3をコードする遺伝子の変異である。脊髄グリオーマにも同遺伝子変異が見られるが、疾患の希少性と検体の微量性から、その遺伝子解析研究は数少ない。そこで本研究では、多施設共同研究の形で比較的大規模なコホートを構築し、遺伝子プロファイルを明らかにすることで、治療の最適化・新規治療の開発を目指す。
獨協医科大学病院・都立神経病院・東京大学医学部附属病院にてに治療された脊髄グリオーマ(星細胞系腫瘍)を後方視的に収集した。平成29年度は2000年~2016年に治療され解析可能な30症例を対象として遺伝子解析を行い、臨床情報との統合解析を行った。免疫染色にてH3 K27M変異は9例(30%)に見られ、それらの臨床像は年齢・発生部位とも多彩であった。陽性症例は有意にWHOグレード(悪性度)が高く(p=0.0005)、全例悪性神経膠腫であったこと、H3 K27M変異とOSには有意な相関が見られなかった(p=0.29)のに対し、WHOグレードとOSには有意な相関が見られた(p=0.01)ことから、H3 K27M変異は脊髄グリオーマにおいては予後不良因子というより、悪性度の指標としての意味合いの方が強い可能性が示唆された。症例数が少ないため症例の蓄積が必要と思われ、引き続き検体収集を行った。また、複数の症例で免疫染色とサンガーシークエンスの結果が合致しなかったため、その検証が重要と思われ、サンガーシークエンスの再検や、神経病理医へのコンサルトを行った。
さらに凍結検体・血液検体がある症例から優先的に、全エクソーム解析を施行中で、ヒストン遺伝子の検証を行うとともに、新規遺伝子を探索中である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

視床グリオーマや小脳グリオーマに対する我々の先行研究では、H3-K27M免疫染色での結果とH3F3A・HIST1H3B等のサンガーシークエンスの結果に乖離が見られることは殆どなかったため、本研究で合致しない症例が存在する理由について探索を行っていた。
また、全エクソーム解析に供する検体の調達と調整に予想よりも時間を要した。

今後の研究の推進方策

全エクソーム解析の結果から新規遺伝子の探索を行うとともに、臨床情報との統合解析を行い、例えば早期再発を予測する因子の検討などを予定している。

次年度使用額が生じた理由

前述の通り研究に遅延が生じたため。
現在症例の蓄積を行っているため、それらの遺伝子解析に使用する予定である。また、現在全エクソーム解析中であり、次年度に継続していく予定である。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2019 2018

すべて 学会発表 (5件) (うち国際学会 1件、 招待講演 3件)

  • [学会発表] 神経膠腫に対する覚醒下手術2019

    • 著者名/発表者名
      田中將太
    • 学会等名
      第21回日本ヒト脳機能マッピング学会
    • 招待講演
  • [学会発表] グリオーマの遺伝子異常と改訂WHO分類2018

    • 著者名/発表者名
      田中將太
    • 学会等名
      第36回日本脳腫瘍病理学会教育セミナー
    • 招待講演
  • [学会発表] Clinical implication of H3 K27M mutation in spinal cord astrocytoma2018

    • 著者名/発表者名
      Shota Tanaka
    • 学会等名
      22nd International Conference on Brain Tumor Research and Therapy
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] 神経膠腫に対するがん関連遺伝子パネル検査(Todai OncoPanel)の初期使用経験2018

    • 著者名/発表者名
      田中將太,高柳俊作,野村昌志,牛久綾,油谷浩幸,高阪真路,間野 博行,齊藤延人
    • 学会等名
      第19回日本分子脳神経外科学会
  • [学会発表] 脊髄グリオーマの臨床像と遺伝子解析2018

    • 著者名/発表者名
      田中將太,大谷亮平,本郷博貴,松田葉月,池村雅子,野村昌志,高柳俊作,根城尭英,高橋慧,北川陽介,花大洵,小池司,武笠晃丈,植木敬介,小森隆司,谷口真,齊藤延人,金彪
    • 学会等名
      第36回日本脳腫瘍学会学術集会

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公開日: 2019-12-27  

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