研究課題
悪性グリオーマの治療抵抗性の最大の原因となっている「浸潤性増殖」を克服する、新しい治療法を開発することを目的として本研究を開始した。まず、腫瘍細胞の多様性と表現型シフト(形質転換)を個別に再現する、我々のオリジナルの培養細胞と動物モデルを用いて、浸潤性を規定する遺伝子の探索を行った。本研究の特色と独創的な点は、(1)浸潤能と血管新生能において表現型の異なるペアのオリジナルの培養細胞と動物モデルを用いることと、(2)腫瘍細胞の形質転換誘導によって治療効果を得るという革新的な治療ストラテジーにある。これまでの我々の研究結果から、腫瘍細胞におけるannexin A2 遺伝子の発現が血管新生に依存した細胞増殖に関与することを、マイクロアレイ解析の結果をもとに示しているが、本研究においては、まず同様のマイクロアレイの結果をもとに、annexin A2の発現に関連する遺伝子の解析を行った。その結果、fibroblast growth factor 13 (FGF13)遺伝子を、浸潤性を増強する遺伝子として同定し、更にグリオーマにおける機能的解析も行なうことができた。本研究の成果は誌上発表した。つぎに、グリオーマ細胞へのannexin A2 遺伝子導入が「血管新生-浸潤シフト」という形質転換を誘導し、(1)腫瘍細胞の浸潤能抑制、(2)腫瘍細胞の薬剤感受性上昇というふたつの機序により抗腫瘍効果を発揮することを、培養細胞、動物モデルで示すために、annexin A2 遺伝子を持つウィルスベクターを作成した。これを用いて腫瘍細胞への遺伝子導入を行い、基礎的な実験と実験的治療を行った。
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