研究実績の概要 |
前年までに行ってきた研究を継続し、KNS1451とKNS1435にそれぞれHDAC7を強制発現させた細胞以外に、共同研究施設から供与された新たな腫瘍幹細胞としてMGG8, MGG65, MGG125細胞とU87グリオーマ細胞にそれぞれPTEN, EGFR,EGFRvIIIを強制発現させた細胞(U87-PTEM, U87-PTEN, EGFR, U87-PTEN, EGFRvIII)のHDAC7発現の解析を行った。その結果、KNS1451とKNS1435のHDAC7の発現レベルは、強制発現させた細胞では5-7倍に発現が増加していたが、MGG8, MGG65, MGG125細胞ではベースラインのHDAC7の発現が、KNS1451とKNS1435にHDAC7を強制発現させた細胞と同等であった。特にMGG125はこれまでに一番発現レベルが高い細胞であるKNS1435-HDAC7よりも2倍以上の高発現を認めた。したがって現在MGG125細胞に焦点をあててHDC7の機能解析を行っている。また最近我々は最近アクチン結合蛋白であるFMNL1が膠芽腫の浸潤、遊走能に強く関与していることを明らかにした。FML1はアクチンストレス繊維形成に必要なアクチン繊維を供給するアクチン重合促進因子であるフォルミンファミリーに属する分子である。フォルミンファミリーには15種類の蛋白が存在するが、FML1はその中でも膠芽腫の浸潤、遊走能に強く関与する分子である。臨床検体の解析にてFML1の発現は間葉形質のマーカー発現と強く相関していることを見出し、組織学的にも発現が相関する結果を得ている。
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