研究課題/領域番号 |
17K10872
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研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
鰐渕 昌彦 札幌医科大学, 医学部, 准教授 (30343388)
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研究分担者 |
佐々木 祐典 札幌医科大学, 医学部, 講師 (20538136) [辞退]
三上 毅 札幌医科大学, 医学部, 講師 (30372816)
三國 信啓 札幌医科大学, 医学部, 教授 (60314217)
小松 克也 札幌医科大学, 医学部, 助教 (60749498)
中崎 公仁 札幌医科大学, 医学部, 研究員 (70722461) [辞退]
本望 修 札幌医科大学, 医学部, 教授 (90285007)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 悪性神経膠腫 |
研究実績の概要 |
悪性神経膠腫が予後不良である理由として、増殖能のみならず、強い浸潤能が挙げられる。現在まで浸潤に関与する分子は未同定で、それを制御する方法もない。我々は世界で初めて悪性脳腫瘍の浸潤能に深く関わる因子としてACTC1(actin alpha cardiac muscle 1)を同定し、予後と極めて強く相関することを見出した(Ohtaki et al. J Neurosurg 2016)。ACTC1陽性群は陰性群に比較し年単位で予後が悪い、という事実より、本因子の制御が神経膠腫の浸潤抑制と予後改善につながる可能性がある、と考えられた。つまり、ACTC1の発現の有無で、HGGの予後に約5年の差が認められたが、これは、既知の予後規定因子による生存期間をはるかに凌駕しており、本因子は浸潤能の鋭敏な指標となり、HGGの予後に与える影響は非常に強いと考えられる。従って、本因子の有無による新たな神経膠腫分類の提唱や、HGGにおけるACTC1発現の程度によっては、摘出範囲を限定する、逆に拡大するなどの個別化医療(molecular based microsurgery)の提供につながると考えられ、臨床的意義も極めて高い。また、神経膠腫の浸潤抑制という新たな切り口から革新的な治療法を開発することは、年単位での治療効果発現が期待でき、臨床的意義が極めて高い。我々はすでに予備実験により、ACTC1を直接的に阻害することが可能であることを明らかにしており、神経膠腫の細胞内におけるACTC1の信号伝達機構を解明し、浸潤抑制という新たな観点から革新的な治療法開発を目指す予定である。 本年度は、本研究費によって、ACTC1の発現の程度が異なる神経膠腫のcell line に対して、ACTC1の発現を抑制することによる治療効果の検討をin vitroで行い、良好な結果を得た。以上のように、補助金は補助条件に従って、有効に使用されている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本年度は、ACTC1の発現の程度が異なる神経膠腫のcell line に対して、ACTC1の発現を抑制することによる治療効果の検討をin vitroで行った結果を、論文発表した(Wanibuchi et al., J Neurol Sci. 2018 Sep 15;392:117-121.)ため。
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今後の研究の推進方策 |
本年度明らかにしたACTC1の発現を抑制することによる治療効果の検討をin vitroの結果を、さらに発展するように研究を推進する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は、研究は順調に遂行できたが、40291円の軽微な残額が生じた。次年度における研究計画に基づいて適切に使用する予定である。
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