研究実績の概要 |
再発悪性グリオーマの予後は不良であり、標準治療は存在しない。ことに予後不良再発群(J Clin Oncol 25:2601-2606, 2007,以下JCO RPA 3+7群)は、再発後に何らかの補助治療を施行してもその治療以降の生存期間中央値が4.4ヶ月と極めて不良である。この予後不良再発悪性グリオーマに対象を絞って、その予後を改善するために、二つの治療、すなわちホウ素中性子捕捉療法およびベバシズマブ投与のコンビネーションによる臨床試験を行い、その治療効果を明らかにし、ひいては将来の加速器中性子源を用いた再発悪性グリオーマに対する標準治療への布石にすることが本研究の目的であった。 以下のプロトコールに従い、再発悪性グリオーマ(MG)予後不良群(JCO,RPA 3+7群+Bev使用後再発群)20例を目標症例数に設定し、原子炉BNCTを施行し、その2-4週後より、Bev10mg/kg, biweekly の投与をRANOの診断基準での悪化まで継続し、全生存(OS)を主要評価項目として、single arm, 第二相臨床試験を行った。以上の研究を医療イノベーション推進センター(TRI)とともに行い、CRFも作成し、電子入力システムを構築した。なお、jRCTs051180218として臨床試験登録を行っている。 使用を予定していた京都大学複合原子力研究所原子炉(KUR)が安定した稼働を継続できなかったこと、および同時期に加速器BNCTの治験をスタートさせたこと等の理由により、試験期間中4例の症例のentry に終わり、follow-upを行った。なお、BNCTを今後加速器にシフトすることを考慮し、試験期間の延長は考えていない。 4例中3例が再発により死亡されているが、いずれもJCOの予測OSよりは延命され、1例は治療後19か月生存中である。いずれの症例も放射線壊死は発症していない。
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