研究課題/領域番号 |
17K10883
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研究機関 | 旭川医科大学 |
研究代表者 |
安栄 良悟 旭川医科大学, 医学部, 講師 (80301985)
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研究分担者 |
田村 有希恵 旭川医科大学, 大学病院, 医員 (30723879)
鎌田 恭輔 旭川医科大学, 医学部, 教授 (80372374)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 悪性神経膠腫 / 術中蛍光診断 / アミノレブリン酸 / 遺伝子検索 |
研究実績の概要 |
5-ALA を用いた蛍光ガイド下手術は、悪性神経膠腫の摘出率向上に有用である。 しかし、蛍光 状態は術者の主観的判断に依存している。蛍光強度を定量化し摘出組織の PpⅨ合成からヘム生成系 pathway に関与する酵素を測定し、 病理組織と整合させ、腫瘍組織と非腫瘍組織の境界を蛍光強度により定める。術中リアルタイムに蛍光強度を定量し、腫瘍と正常部の境界ラインを明確化することにより、 正確かつ安全な悪性神経膠腫的手術が可能となる。 顕微鏡下でROIの中に目的採取部位をあわせ400nmの青色光線にて励起させ採取した。分光は、ベースライン値(490.0-500.0nm)を設定し自家蛍光(515±20.0nm)peak値、 赤色蛍光(625.0±10.0nm)peak値を測定した。赤色蛍光のpeak値とベースライン値との差を 自家蛍光とベースライン値との差で除する相対値測定法を用いた。 2017年度までに脳腫瘍49例123検体を採取した。そのうち同一症例で組織変化は10症例31検体(GBM8例、AO1例、AE1例)、術中肉眼的にgliosisに変化した腫瘍は3症例7検 体(GBM3例)。 現在のところ定量値7近傍にて腫瘍組織からgliosis優位の組織へと移行する可能性が考えられる。中間報告として第41回日本脳神経CI学会シンポジウムならびに第27回脳神経外科手術と機器学会(CNTT)にて発表、定量化方法についてはCI研究に論文掲載予定である。さらなる検体採取と解析を進める予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
術中組織変化のある検体を採取できたため、腫瘍との境界定量値が5から7まで絞れてきた。 しかし、悪性度が高くない症例や初期に十分な蛍光強度を得られなかった症例に関しては境界定量値は不安定である。 また脳室上衣組織への蛍光反応が障害となっていることが判明した。このため、脳室周囲を含めた遺伝子解析を進めていく必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
検体組織を今年度収集し、脳室周囲、脳室上衣の組織を確認する。共焦点顕微鏡を用いて5ALAの分布を解析する。さらに腫瘍、gliosis、上衣組織の遺伝子を解析する。 現在のところ腫瘍組織はミトコンドリアでの代謝、gliosisでは細胞質内での代謝が予想される。また上衣では細胞壁での代謝が考えられる。 2018年度中にこれらの解析を行い2019年度には海外での発表、英文論文の作成に入れると考えられる。
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次年度使用額が生じた理由 |
共同研究SBIファーマでの遺伝子解析の予定が遅れたため人件費ならびに解析にかかる費用が繰り越しになったため。 今年は遺伝子解析に人件費を含め使用していく予定である。
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