研究課題
1.臨床においては、アデノシン受容体をターゲットとした11C-MPDX PET評価の評価方法を確立し、外傷症例においてJ.Neurotraumaに掲載された。この方法論を用いて側頭葉てんかん症例14例で再検証し、焦点側の、かつ焦点周囲におけるアデノシン受容体の賦活を確認した。このことから、アデノシン受容体による抗てんかん作用が推測されている。現在投稿準備中であり、てんかん学会、臨床神経生理学会等で報告した。2.硬膜下電極症例におけるwide-band EEG解析の結果と、FDGPET, 11C-FMZ PET結果の相関を検証した。現在DC shiftによるグリア機能異常がてんかん原生の本質ではないかという仮説が徐々に広まっており、3例であるがKir4.1の機能異常が確認された。しかしながら、PET結果との相関は確認されなかった。より本質的にグリア機能を反映する18F-THK331などの新規トレーサーでの検討を開始している。3.11C-ITMM PETによるmGluR1の機能については6例での検討が終了し、mGluR1による活性はてんかん焦点で存在せず、むしろ機能低下が確認された。てんかん学会等で報告し、投稿準備中である。4.ELマウスを用いたPET評価では、11C-1MT PETによる評価で、ELマウスによる発作出現前からの代謝上昇が確認された。てんかん原生におけるキヌレイン経路の関与が証明され、in vitroでもこれが裏付けられた。現在投稿準備中であり、北米神経科学会などでの報告が予定されている。5.chemical kindlin modelのモデル作成が概ね終了し、安定した評価が可能となった。現在で少数での予備的検討結果では、てんかん原生の獲得に並行して、受容体の過活動、すなわちグリア機能の活性が認められている。
2: おおむね順調に進展している
1.臨床PETでは概ね良好な進捗状況であるが、グリア機能の可視化については十分な評価に至っていない。これは各トレーサーのS/N比の改善が望ましく、現在新たなトレーサーでの検討開始が決まっている。また、硬膜下電極留置症例におけるグリア機能との相関についても、引き続いての検証が行われている。2.動物PETによる評価では、ELマウス以外のkindlingでの評価が進行している。in vitro評価が不十分であるが、こちらにおいてはキヌレニン経路の関与のほかにグリア機能の賦活化との相関が確認されており、免疫染色を含めたさらなる検証が進行している。
1. 現在進行している臨床研究については、投稿に向けて必要なNを増やしている段階で、引き続き継続する。また、2個の新規トレーサーによる検討が予定されており、特にグリア機能の可視化を目指している段階である。2.基礎研究では、ELマウス以外のモデルによる検討が継続されているが、初年度のELマウスによる検討で概ね方法論は確立したと思われるため、引き続き研究を継続する。
当初予定していた新規トレーサー開発が、1種類臨床応用が今年度にずれ込んだために生じた。今年度行う予定である。
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