研究課題/領域番号 |
17K10895
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
谷 直樹 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (20598370)
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研究分担者 |
貴島 晴彦 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (10332743)
小林 真紀 大阪大学, 医学部附属病院, その他 (10570575)
押野 悟 大阪大学, 医学部附属病院, その他 (40403050)
田中 將貴 大阪大学, 医学部附属病院, 医員 (80746678)
柳澤 琢史 大阪大学, 医学部附属病院, その他 (90533802)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 安静時機能的MRI / 振戦 / 視床破壊術 / 集束超音波 |
研究実績の概要 |
本態性振戦29名、パーキンソン病14名、健常者17名の安静時機能的MRI (Rs-fMRI)を撮影した。その内本態性振戦7名ではFUSによる左視床破壊術を行い、術前と3ヶ月後にClinical Rating Scale for Tremor (CRST)による振戦評価と、Rs-fMRIの撮影をそれぞれ行った。Preliminaryな解析として上記の7名と健常被験者7名に於ける、振戦治療前後での機能的結合値変化解析を行った。 Rs-fMRIの解析にはMatlab(CONN)を使用し、preprocessingを行った後、左視床をSeedとしたseed to voxel analysisを行った。SeedにはHarvard-Oxford AtlasをもととしたROIsより左視床を選択した。Seedから全脳の各voxelへの機能的結合値を算出し、z-scoreに変換後、術前後での比較を行った。Height threshold p < 0.001 uncorrected, cluster threshold p < 0.05 FDR correctedを有意とした。さらに同領域間の健常者と本態性振戦術前患者の機能的結合値の比較を行なった。結果、①左視床破壊により、右上肢CRST scoreは術前と比べ、治療1ヶ月後、3ヶ月後に有意な改善を認めた。(それぞれp = 0.313, p = 0.156)、②機能的結合解析では、振戦治療後に左視床ー背側運動前野尾側部間の機能的結合値の増強を認めた (cluster size = 84, MNI coordinate [x y z] = [-20 2 50])。健常者との比較では左背側運動前野尾側部-左視床間の機能的結合値が本態性振戦患者で弱い傾向を認めた(p = 0.0967)。 これは本態性振戦で減弱していた視床ー背側運動前野尾側部間の機能的結合がFUSによる振戦治療により強くなったものと考えられた。この結果は関連学会で報告している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
MRI撮影は順調に進み、すでにある程度の機能的結合変化に関する知見が得られている。ただし、脳磁図記録は遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
①パーキンソン病患者での解析を予定通り進める。ただし、パーキンソン病患者に対するFUSを利用した淡蒼球破壊術は熱凝固が困難であることが明らかになり、視床破壊術に変更となる可能性が高い。 ②本態性振戦患者では視床破壊術前後での被検者数を増やす。
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次年度使用額が生じた理由 |
解析開始前に使用予定であったパソコンが故障し買い替えが必要となった。解析ソフトの支出を減額し大まかには予算に相当するものとなったが多少のあまりが生じた。次年度以降に学会費、消耗品に使用予定である。
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