本研究により嗅粘膜組織による神経軸索伸長に関与する液性因子および細胞外マトリックスを同定することができた。これにより、現在完全脊髄損傷における自己嗅粘膜移植術における再生メカニズムの詳細な解析につながる。また、自己嗅粘膜移植術における適応症例制限を克服するための神経―嗅粘膜組織グラフト作成に道筋をつけるものとなる。本研究により広範囲脊髄損傷症例や高齢者の症例に対して機能再生医療の適応が拡大することが期待される。そのことにより、長期の介護に携わる家族の負担を軽減、そしてリハビリテーション従事者や施設の効率的な運用につながり、社会的費用の軽減をもたらすことも期待される。
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