研究課題/領域番号 |
17K10898
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
甲村 英二 神戸大学, 医学研究科, 教授 (30225388)
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研究分担者 |
篠山 隆司 神戸大学, 医学部附属病院, 講師 (10379399)
谷口 理章 神戸大学, 医学研究科, 准教授 (60346195)
田中 一寛 神戸大学, 医学研究科, 助教 (70467661)
水川 克 神戸大学, 医学部附属病院, 非常勤講師 (80403260)
甲田 将章 神戸大学, 医学研究科, 助教 (80590843)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | resting mode network / 術中MRI |
研究実績の概要 |
頚動脈狭窄症(Internal Carotid Artery Stenosis(ICS))に起因する脳循環動態の悪化は認知機能障害の原因になると考えられている。ICSに対する手術は、認知機能の改善を促すという報告がある一方で、手術により認知機能障害が出現・増悪するとの報告もある。しかしながら、認知機能の評価に用いられる神経心理学的検査は、繰り返し行うことによる学習効果が指摘されており、認知機能を適切に評価できていない可能性がある。本研究は、安静時(resting state)functional MRI(RS-fMRI)を用いた神経ネットワークによる解析法を利用し、ICS症例の経過中、またICS手術例における周術期および長期フォロー後の認知機能を客観的に評価することを目的とするものである。現在までに17例に対して検討をおこなった。手技、左右の内訳は内膜剥離術(CEA)/ステント留置術(CAS)=14/3、左/右=9/8であった。手術直前および術後1週間に認知機能を評価した。認知機能評価にはMini Mental State examination (MMSE)、Frontal Assessment Battery (FAB)、日本語版Montreal Cognitive Assessment (MOCA-J)を使用した術前後の認知機能は、MMSE 28.1 vs 28.4(P=0.41)、FAB 16.2 vs 16.7(P=0.39)、MOCA-J 24.0 vs 26.1(P=0.0001)であった。RS-fMRIの解析では、認知機能と関連があると考えられている内側前頭前野をseedとして機能的結合をみたところ、楔前部との結合に有意な増加がみられた。一部の症例では1年後の認知機能検査も実施済みでMOCA-Jにおける改善は維持されていた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
CEA/CASを施行したICS症例を対象とし、手術直前および術後1週間に認知機能を評価した。認知機能評価にはMini Mental State Examination(MMSE)、Frontal Assessment Battery(FAB)、日本語版Montreal Cognitive Assessment(MOCA-J)を使用した。RS-fMRIの撮像にはMAGNETOM Skyra(Siemens)を使用し、画像解析にはMATLAB(Mathdefoworks Inc.)およびCONN functional connectivity toolbox(NITRC funded by NIH)を用いた。現在までに17例に対して検討をおこなった。男女比はM:F=13:4、平均年齢は73.0±8.2(58-86)歳で、手技、左右の内訳はCEA/CAS=14/3、lt/rt=9/8であった。術前後の認知機能は、MMSE 28.1 vs 28.4(P=0.41)、FAB 16.2 vs 16.7(P=0.39)、MOCA-J 24.0 vs 26.1(P=0.0001)であった。RS-fMRIの解析では、認知機能と関連があると考えられている内側前頭前野をseedとして機能的結合をみたところ、楔前部との結合に有意な増加がみられた(voxel level P<0.001、p-uncorrected、cluster level p<0.05、p-FDR corrected)。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、頸動脈狭窄患者での術前、術後長期のresting state fMRIでのネットワーク解析症例を増やすとともに、グリオーマでの術前、術中、術後のresting state fMRIでのネットワーク解析症例を増やして、術前、術中のネットワーク解析及び機能予測を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
外付けハードデイスク、プラスチック製品、DVD、CD など消耗品の納入が遅れてしまったためです。
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