研究課題/領域番号 |
17K10904
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研究機関 | 奈良県立医科大学 |
研究代表者 |
本山 靖 奈良県立医科大学, 医学部, 病院教授 (30405386)
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研究分担者 |
高谷 恒範 奈良県立医科大学, 医学部, 助教 (00736506)
中瀬 裕之 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (10217739)
川口 昌彦 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (60275328)
西村 文彦 奈良県立医科大学, 医学部, 講師 (70433331)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 眼球運動 / 術中モニタリング / 動眼神経 / ピエゾセンサー / 前頭眼野 |
研究実績の概要 |
下垂体腫瘍に対する経鼻内視鏡手術の発達に伴い、下垂体腫瘍の摘出率は劇的に増大している。しかしその一方で、手術侵襲の増大から海綿静脈洞近傍の眼球運動神経が障害されり可能性が高まっている。全身麻酔下に行われる手術において、眼球運動をモニタリングするためのシステムを開発するために、まずは眼球運動の検出モダリティーの評価を行った。 眼球運動検出のためのモダリティーとして、眼電図(electro-oculogram:EOG)、針筋電図、そして圧センサー(piezo-sensor)が候補として採用された。これらのモダリティーを用いて、眼球運動が実際に検出可能か評価を行った。眼球運動の誘発は、術野から直接電気プローべによって海綿状脈洞内の動眼神経を刺激することによって行った。 眼球運動の検出は、EOG、針筋電図、piezo-sensorのいずれによっても可能であることが示された。現在は、3つのモダリティーのどれがより鋭敏であるかの比較検討が行われている状況である。 経頭蓋刺激による眼球運動は誘発されることが確認されたが、前頭眼野刺激による誘発眼球運動であるか否かの確認はまだ十分に出来ていない。また、この誘発眼球運動を圧センサーや筋電図或いは眼電図で検出するにはまだ至っていない。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
下垂体腫瘍手術で眼球運動神経が障害されている症例が少なかったため、研究対象症例が十分に蓄積されていない。また、誘発眼球運動に対する検出において、眼電図、筋電図、圧センサーのいずれが有用であるかの予備実験を平行して行っており、まとまった結果を得るのに今少しの時間がかかる見込みである。
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今後の研究の推進方策 |
眼球運動を全身麻酔下での術中モニタリングで正確に捉えることが出来るよう、症例を積み重ねて検出モダリティーの比較を進め、圧センサーの有用性を証明することを当面の目標として定めている。眼球運動測定における、圧センサーの特徴は簡便であり、侵襲が少ない点にあるため、利点を生かしたモニタリングの検出モダリティーとして実用性を示すことを考えている。しかし、検出能に大きな差があった場合などは他の検出モダリティーを採用して研究を遂行することも想定している。 一方、経頭蓋刺激による前頭眼野からの眼球運動誘発は、刺激方法や刺激部位の調整を行っているものの、適切な注視を得ることが困難な状況が続いている。 前頭眼野の刺激による眼球運動誘発が困難であれば、対象を変更することが考慮される。すなわち、直接脳表刺激が可能な開頭腫瘍摘出術などの症例において、直接脳表刺激を行い眼球運動が誘発されることを圧センサーなどで評価することを考慮している。
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次年度使用額が生じた理由 |
前年度未使用額が予想より多かったため。 次年度は、機器購入等は予定されておらず、症例に伴う消耗品等以外は、解析や学会発表などに関係するソフト面への支出を予定している。
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