研究実績の概要 |
臨床研究において、昨年度より行っていた脳放射線壊死の放射線学的診断のシステマティックレビューの論文を投稿し、major revisionを経てacceptされた。 CT, MRIの非核医学検査およびSPECT, PETの核医学検査における脳放射線壊死の診断能力についてシステマティックレビューを行った。188の非核医学検査および239の核医学検査の論文がデータベースより検出された。最終的に20および26の論文がメタアナリシスに残った。非核医学検査としては、MRI, DWI, MRS, perfusion CT/MRI、これら検査の複合評価、非核医学検査としては、201Tl-SPECT, 99mTc-MIBI-SPECT, 99mTc-GHA-SPECT, 18F-FDG-PET, 11C-MET-PET, 18F-FET-PET, 18F-BPA-PETが検出された。 メタアナリシスを行うと、DWI, MRS, perfusion MRIなどの複合評価の診断オッズ比が最も高く5.9であり感度96%、特異度93%であった。次いで18F-FET-PETの5.2あった(感度91%、特異度95%)。最も診断オッズ比が低かったのは造影MRIの2.2(感度63%、特異度82%)であり、次いで18F-FDG-PETの2.4であった(感度81%、特異度72%)。基礎疾患別にサブ解析を行った。グリオーマ治療後の放射線壊死では全体の結果と同様に、18F-FET-PETとDWI, MRS, perfusion MRIなどの複合評価の診断オッズ比が高く、造影MRIと18F-FDG-PETが低かった。転移性脳腫瘍治療後放射線壊死では、perfusion MRI, 201Tl-SPECT, 18F-FDG-PET, 造影MRI, 11C-MET-PETの診断オッズ比はほぼ同等であった。 形態、血流、質的評価の複合が診断率を上昇させることが判明した。今後PET/MRIなどが放射線壊死の鑑別診断に有用かもしれない。
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