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2018 年度 実施状況報告書

分子標的時代における放射線壊死の病態解明と新規診断・新規治療への挑戦

研究課題

研究課題/領域番号 17K10911
研究機関大阪医科大学

研究代表者

古瀬 元雅  大阪医科大学, 医学部, 准教授 (70340560)

研究分担者 川端 信司  大阪医科大学, 医学部, 准教授 (20340549)
野々口 直助  大阪医科大学, 医学部, 講師 (70388263)
研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワード放射線壊死 / ベバシズマブ / 放射線学的診断
研究実績の概要

臨床研究において、昨年度より行っていた脳放射線壊死の放射線学的診断のシステマティックレビューの論文を投稿し、major revisionを経てacceptされた。
CT, MRIの非核医学検査およびSPECT, PETの核医学検査における脳放射線壊死の診断能力についてシステマティックレビューを行った。188の非核医学検査および239の核医学検査の論文がデータベースより検出された。最終的に20および26の論文がメタアナリシスに残った。非核医学検査としては、MRI, DWI, MRS, perfusion CT/MRI、これら検査の複合評価、非核医学検査としては、201Tl-SPECT, 99mTc-MIBI-SPECT, 99mTc-GHA-SPECT, 18F-FDG-PET, 11C-MET-PET, 18F-FET-PET, 18F-BPA-PETが検出された。
メタアナリシスを行うと、DWI, MRS, perfusion MRIなどの複合評価の診断オッズ比が最も高く5.9であり感度96%、特異度93%であった。次いで18F-FET-PETの5.2あった(感度91%、特異度95%)。最も診断オッズ比が低かったのは造影MRIの2.2(感度63%、特異度82%)であり、次いで18F-FDG-PETの2.4であった(感度81%、特異度72%)。基礎疾患別にサブ解析を行った。グリオーマ治療後の放射線壊死では全体の結果と同様に、18F-FET-PETとDWI, MRS, perfusion MRIなどの複合評価の診断オッズ比が高く、造影MRIと18F-FDG-PETが低かった。転移性脳腫瘍治療後放射線壊死では、perfusion MRI, 201Tl-SPECT, 18F-FDG-PET, 造影MRI, 11C-MET-PETの診断オッズ比はほぼ同等であった。
形態、血流、質的評価の複合が診断率を上昇させることが判明した。今後PET/MRIなどが放射線壊死の鑑別診断に有用かもしれない。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

臨床研究では、放射線壊死診断のシステマティックレビューの論文がacceptされたが、基礎研究が予定通り進んでいない状態である。主な原因としては、研究協力者となる大学院生が確保できず、放射線壊死の動物モデルを用いた研究は滞っている。我々の放射線壊死モデルは壊死の形成まで照射より6カ月を要するため、継続的に協力できる人材を確保する必要があるが、この年度では困難な状況であった。

今後の研究の推進方策

放射線壊死に対するアバスチンの治療効果の臨床研究が3月31日で終了となったため、今後は、データを収集・解析し、まとめる予定である。本臨床研究はショートコース(3回投与のみ)の治療を行い、その治療効果を判定するものであり、有意な結果が得られれば、学会発表を経て、論文化へ進めていく予定である。基礎研究は従来の脳放射線壊死を作成する研究協力者を確保することが困難であるため、ホウ素中性子捕捉療法の研究チームとディスカッションを重ね、ホウ素中性子捕捉療法を用いた脳放射線壊死モデルの作成の研究の立ち上げを画策する予定である。

次年度使用額が生じた理由

今年度は、システマティックレビューの論文のacceptまでに、労力を費やす結果となった。基礎研究が進まず使用しなかった予算は、ホウ素中性子捕捉療法による脳放射線壊死モデルの作成に使用する予定である。また、臨床研究のデータをまとめることや学会発表および論文作成・投稿に必要な費用に予算を充てる予定である。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2019 2018

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] Radiological diagnosis of brain radiation necrosis after cranial irradiation for brain tumor: a systematic review2019

    • 著者名/発表者名
      Furuse M, Nonoguchi N, Yamada K, Shiga T, Combes JD, Ikeda N, Kawabata S, Kuroiwa T, Miyatake SI
    • 雑誌名

      Radiat Oncol

      巻: 14 ページ: 28

    • DOI

      10.1186/s13014-019-1228-x

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Boron neutron capture therapy combined with early successive bevacizumab treatments for recurrent malignant gliomas. A pilot study2018

    • 著者名/発表者名
      Shiba H, Takeuchi K, Hiramatsu R, Furuse M, Nonoguchi N, Kawabata S, Koroiwa T, Kondo N, Sakurai Y, Suzuki M, Ono K, Oue S, Ishikawa E, Michiue H, Miyatake SI
    • 雑誌名

      Neurol Med Chir (Tokyo)

      巻: 58 ページ: 487-494

    • DOI

      10.2176/nmc.oa.2018-0111

    • 査読あり
  • [学会発表] Bevacizumab holidayは可能か? 初発膠芽腫に対するbevacizumab治療2018

    • 著者名/発表者名
      古瀬 元雅、川端 信司、池田 直廉、野々口 直助、宮武 伸一、黒岩 敏彦
    • 学会等名
      日本脳神経外科学会 第77回学術総会
  • [学会発表] Bevacizumab holidayは可能か? 初発膠芽腫に対するbevacizumab治療2018

    • 著者名/発表者名
      古瀬 元雅、川端 信司、池田 直廉、野々口 直助、黒岩 敏彦
    • 学会等名
      第56回日本癌治療学会学術総会

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公開日: 2019-12-27  

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