研究実績の概要 |
1ヶ月毎に3匹のWister ratをsacrificeし、放射線壊死の形成を病理学的に確認したところ、照射後5カ月では1匹、6カ月では2匹、7カ月以降は全例で放射線壊死の形成を認めた。Kaplan-Meier法にて放射線壊死の出現時期を検討すると、中央値6.0カ月(95%CI, 5.5-6.7カ月)であった。HE染色では、壊死中心部に拡張した毛細血管を認め、その周辺には反応性のアストロサイトを認めた。免疫染色では、HIF-1およびVEGFの発現を認めた。 照射7カ月後の放射線壊死最盛期の組織を用いてマイクロアレイ解析を行った。マイクロアレイにspotされている、延べ36,685個の遺伝子のうち放射線壊死初期(照射2カ月後)と比較してBRN最盛期(照射7カ月後)において有意な発現変動(P<0.01)を示す遺伝子を779個(2.1%)認めた。これらの遺伝子に対してpathway解析を施行した。NCBIのdatabaseに登録されている20,717のgene pathwayのうち、Z-scoreが+1.0以上を示しgene pathwayに統計学的に有意な変化が生じていると判断されるものが29種類(0.13%)検出された。さらにmiRNAのマイクロアレイ解析を行うと17種類のmiRNAの有意な発現変動を認めた。network解析を行うと炎症・免疫反応に関わるものが最も多かった。 2017年から2019年3月までに11例の放射線壊死症例にベバシズマブを投与した。年齢中央値は65歳、男性5例、女性6例であった。原疾患はGrade IからIIIの髄膜腫が2例ずつ、頭頸部癌が2例で、膠芽腫、奇形腫、脊索腫が1例ずつであった。ベバシズマブの投与回数は中央値3回(1-6回)であった。投与前のKPS中央値は65、投与後は70であった。今後、画像評価を行う予定である。
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