研究課題
1.間葉系幹細胞(MSC)セルバンクの構築。我々は1)脊柱靭帯組織に間葉系幹細胞(MSC)が存在する。2)患者ではMSCが骨化しやすい性質に形質転換している。3)MSCが骨芽細胞に間違って分化するため靭帯組織が骨化する。ということを示してきた。病因の更なる解明には、MSCが多数必要である。そこで、共同研究している弘前大学整形外科学の協力を得て、MSCセルバンクの構築を進めた。2.治療薬シーズの探索。治療薬の開発には異所性骨化を抑制する薬物のスクリーニングが不可欠である。天然物ライブラリーを対象に、MSCの骨化を抑制するものをスクリーニングした結果、低濃度で骨化を著明に抑制する天然物を4種類見出した。それらは、骨化促進遺伝子の発現も著明に抑制した。逆に内因性骨化抑制因子TSG-6の発現は逆に増加させた。治療薬シーズとして有望であるため、それを元により作用の強い、また特異性の高い薬物の創出を試みる予定である。3.MSCの易骨化性を示す形質転換の機序をゲノムDNAのメチル化から解明。我々は、ゲノムDNAのメチル化酵素を阻害する薬物で、MSCの骨化傾向が大きく変わることを見出し、DNAメチル化によるエピジェネティックな形質転換に注目した。骨化と非骨化患者由来のMSCの全ゲノム領域でのメチル化の差異を、次世代DNAのシークエンサーによって、メチル化部位を全ゲノム領域で検出することで明らかにしようと試みた。その結果、骨化と非骨化患者由来のMSC間で、ゲノムDNAのメチル化のプロファイルに明確な差があった。また骨化患者由来のMSCで、R spondin-2、およびWNT5Aのメチル化が著明に減少(発現促進に働く)していた。今後はメチル化が増大している遺伝子(発現抑制に働く)についても解析し、それら遺伝子の骨化において果たす役割を明らかにしたいと考えている。
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Cell Transplantation
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