研究課題
腰椎専門外来受診患者636症例(男性299例,女性337例)を対象に,経皮AGE測定器(Diagnoptics社製AGE Reader mu ,測定原理Meerwaldt R, Diabetologia, 2004)を用いてAGEsの蓄積を測定するとともに年齢,臨床症状を記録した.臨床症状の評価尺度には腰痛,下肢痛,下肢しびれそれぞれのvisual analog scale(VAS,cm)を用い,VAS 0を痛みなし,1~3を軽度,4~6を中等度,7~10を高度と定義して回帰分析,Mann-Whitney検定を用い評価検討した.また,性別,BMI,骨折歴,糖尿病・透析・骨粗鬆症の有無を含む既往歴,体組成(生体電気インピーダンス法による体脂肪率,脂肪量,筋量)を記録しAGEs測定値との関連の検討をWilcoxon検定,t検定,回帰分析を用いて行うことで経皮AGEs測定器を用いて測定したAGEsが年齢や生活習慣病の有無と関連するかを検討した.その結果年齢とAGEs測定値は正の相関を認めた(P<0.05).AGEsと腰痛VASおよび下肢痛VASは有意な相関関係を認めなかったが,下肢しびれVASはAGEsと正の相関を認めた(P<0.05).50歳未満の症例における評価では腰痛VAS,下肢痛VAS,下肢しびれVASの全てにおいてAGEsと正の相関を認めた(P<0.05).ROC解析では腰痛はAGEs 2.0で感度62.2% 特異度72.4%,下肢痛はAGEs 2.1で感度18.4% 特異度72.4%,下肢しびれはAGEs 2.1で感度52.8% 特異度71.4%が得られた.本研究ではAGEsの経皮測定は青壮年期の腰痛患者において腰下肢症状の予測に有用である可能性が示唆された.AGEsはフレイルや身体的な虚弱状態などの面からの運動器障害にも関与していることが示唆された.
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