研究課題
本研究ではロコモティブシンドロームの中核をなす疾患である椎間板変性およびそれに続発する変形性脊椎症を克服すべく、椎間板の機能維持および変性過程において重要な役割を果たす椎間板線維輪の基質の重要な構成要素のひとつであるフィブリリンに着目し、特にフィブリリンファイバーと相互作用することが知られている蛋白分解酵素ADAMTSファミリーが椎間板変性治療の新たな治療標的となる可能性に注目して、各実験を開始した。これまでに報告したように最初にフィブリリンと相互作用することが知られているADAMTS10およびその他のADAMTSファミリーについてスクリーニングを行い、ADAMTS10では目立った実績が上がっていないもののADAMTS10と同様にフィブリノパチーの原因遺伝子として知られているファミリー分子であるADAMTS17について解析が進んでいる。これまでに本遺伝子がin vitroでフィブリリンの生合成を促進すること、また椎間板に発現し、フィブリリンと共局在することを見出した。また本遺伝子についてはfloxマウスの作出にも成功し、本floxマウスを用いてグローバルノックアウトマウスを作出し現在解析を進めているがこれまでに骨格の成長障害を呈すること、またフィブリノパチーとして矛盾しない全身表現型が得られることを確認している。本成果については本研究期間中に英文論文としてすでに投稿し、受理・公開されるにいたった。現在、ADAMTS17遺伝子の椎間板での機能について解析を行い、論文投稿準備中である。
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Cellular and Molecular Life Sciences
巻: 76(23) ページ: 4795-4809.
doi: 10.1007/s00018-019-03188-0.