研究課題
基盤研究(C)
放射線照射後の脊椎腫瘍では、本来は腫瘍に対するバリア組織である硬膜への腫瘍浸潤や、術後の硬膜内再発を認めることがある。その原因として、放射線照射による硬膜バリア機構の破綻が推察され、マウスを用い本仮説を検証した。放射線照射されたマウスでは、腫瘍の硬膜内浸潤は有意に増加し、電子顕微鏡を用いた観察で硬膜微細構造の破綻が確認された。本研究により、新たな放射線障害として硬膜バリア機構の破綻が示された.
整形外科
今後の更なるがん治療の進歩に伴い、脊椎腫瘍に対する放射線照射後に長期生存する例が増加していくと考えられる。本研究で初めて示された放射線障害である硬膜バリア機構の破綻によって悪性腫瘍の硬膜内浸潤が発生すると、腫瘍の局所制御のみならず、生命予後・機能予後も極めて不良となる。そのため、本研究で得られた知見は背椎腫瘍の治療戦略において考慮すべき重要な要素となる。