研究課題/領域番号 |
17K10933
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
冨永 博之 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 助教 (20750798)
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研究分担者 |
前田 真吾 鹿児島大学, 医歯学総合研究科, 特任准教授 (60353463)
河村 一郎 鹿児島大学, 医歯学域附属病院, 助教 (90535832)
小宮 節郎 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 教授 (30178371) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | CDC5L / 後縦靭帯骨化症 / WNT |
研究実績の概要 |
後縦靭帯骨化症(OPLL)病理組織の免疫組織化学染色(IHC)を継続しており、CDC5Lはやはり骨化部周辺の軟骨様変性靭帯細胞とOPLL骨化部間質周囲の骨芽細胞様細胞の両者に発現を認めた。そもそもOPLL病理組織に”内軟骨性骨化”様式が存在するのか、マーカー(SOX9, COL2A1, COL10A1)蛋白のIHCを行ったところ、確かに軟骨様変性靭帯細胞に3者の発現を検出でき、これはCDC5L陽性部位でもあった。In vitroでCDC5Lの発現解析に加えて、siRNAノックダウンによる骨・軟骨細胞分化への影響の検討を継続した。Cdc5lをノックダウンによって、骨髄間質細胞ST-2とMC3T3-E1細胞の骨芽細胞分化系では、分化マーカーがRunx2から一貫して発現亢進し、ALP染色も増強され、すなわち骨芽細胞分化が亢進した。C3H/10T1/2とATDC5の軟骨細胞分化系では、軟骨特異的Col2a1が著明に減少し、軟骨基質マーカーalcian blue染色も減弱し、分化が抑制された。この様に骨芽細胞と軟骨細胞で相反する役割を担う古典的Wntシグナルが、CDC5Lの一つの作用点である可能性を考え、レポーター(TOP flash)の解析をした。その結果CDC5Lは、シグナル伝達因子β-cateninやWNT3A添加で増強したWNTシグナル活性を低下させた。これに関して、Cdc5lのsiRNAは、ST-2細胞において内因性β-catenin蛋白を増加させた。軟骨細胞分化系では、Cdc5lのsiRNAは、PthrpとCdk1のmRNA発現を亢進したので、軟骨細胞の分化成熟に抑制的なPTHrP/Cdk1経路を抑制する事で、CDC5Lは軟骨細胞分化に促進的に働くとも考えられた。以上より、CDC5Lは、OPLLの内軟骨性骨化過程に発現して促進的に働く増悪因子であることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
CDC5LのOPLL臨床組織(in vivo)における発現解析、in vitro細胞培養系における機能解析、共に進んでおり、一定の知見を得つつある。
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今後の研究の推進方策 |
CDC5LがWNTシグナルに与える影響の分子メカニズム、軟骨細胞分化における分子メカニズム、特にCDC5Lの機能として指摘されているG2/M亢進と細胞周期に絡んだ役割について探求する予定である。これらの結果から、OPLL治療につながる経路と分子標的を見極めたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
免疫組織化学染色に用いる抗体およびRNA逆転写キットと定量的PCR関連試薬の使用量、そして学会参加回数が、予想より少なかった事による。次年度は、新たな臨床検体も入手予定であり、さらにin vitro機能解析も増える事から、問題なく計画的に使用できると考えられる。
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