研究課題/領域番号 |
17K10938
|
研究機関 | 和歌山県立医科大学 |
研究代表者 |
川上 守 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (20195051)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | 慢性腰痛 / 歩行解析 / 痛覚過敏 / 反復寒冷ストレス / 拘束ストレス / 椎間板変性 |
研究実績の概要 |
ラットの腰椎椎間関節切除は、歩行異常を伴う椎間板変性を誘発し、さらに反復寒冷 (SART) ストレスの負荷は、腰痛関連歩行異常を増加する。本年度は、ストレスの違いによる反応性を検討した。SARTストレスは椎間関節切除13日後以降、拘束ストレスは椎間関節切除41日後以降より、それぞれストレス負荷による影響(体重増加抑制)が認められたが、ラット椎間関節切除11週間後に検討した結果、拘束ストレスによる更なる歩行異常の誘発は認められなかった。今年度は、ノイロトロピン(NTP)の有用性を検討した。SDラットを使用し、傍脊柱筋を剥離したSham群、SARTストレス負荷したS群、L4-5椎間関節を切除したF群、L4-5椎間関節切除にSARTストレスを負荷したFS群、L4-5椎間関節切除ラットにSARTストレスを負荷すると同時にNTPの100、200又は300 NU/kgを経口投与し、切除の10週後に痛覚過敏(von Frey test)と歩行解析(CatWalk法)、11週後に脊椎を摘出し、L4-5椎間板切片の病理組織(HE、ALB染色)及びTNF-α、NGF、CGRPの発現(免疫染色)を評価した。Sham群と比べ、F群とFS群は線維輪の腹側外側で不規則な組織増生と線維の肥厚と層間の拡大、断裂が認められ、その強度はSham群<S群<F群<FS群の順であった。TNF-α、NGF、CGRP発現は、Sham 群とS群は同程程で、Sham 群と比べF群とFS群は共に線維輪外側部に増生した細胞で染色強度が有意に増強した。FS群と比較して、NTP-300群の腰痛関連歩行異常及び痛覚過敏は有意に改善した。更に、NPT-100、200又は300 群のTNF-α、NGF、CGRP染色強度は有意に減弱し、特にCGRP の明瞭な陽性細胞は認められなかった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
拘束ストレス負荷モデルでの組織学的検討が行えていない。
|
今後の研究の推進方策 |
痛覚過敏、疼痛関連行動が薬物の組み合わせでどのように変化するかを観察し、さらにストレスの違いが何故疼痛行動に影響するのかを検討する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
拘束ストレスモデルでの椎間板組織検査が行えなかったため次年度使用額が生じました。次年度にはこの検討も含める予定です。
|