研究課題
人工関節置換術施行直後の患者は「すり足歩行」になり筋ポンプ作用が低下している。一方、離床中の下肢静脈血流のうっ滞改善を目的に、携帯型間欠的空気圧迫装置の使用が静脈血栓症発生抑制に有効であると米国胸部医学会のガイドラインで推奨されているが、電源を要し高価であるため、低価格で簡便な予防具が必要である。本研究室では荷重に連動して下腿を圧迫する機能を有する無電源の「深部静脈血栓症(DVT)予防具」(以下、当装置)を作成した。2019年度では試作品である当装置の有効性の検証、下肢静脈血流への効果が最大となる下腿の装着部位を探索した。【方法】対象は健常高齢男性20名。測定項目:右浅大腿静脈の最大血流速度(Peak velocity: PV)を超音波画像診断装置で測定した。また、当携帯型接触圧測定器を用いて下腿にかかる圧迫圧を測定した。その際に荷重移動運動を実施した。 測定条件:圧迫部位を非装着、最大下腿周径部に装着、腓腹筋筋腱移行部に装着、アキレス腱部に装着の4条件とし、各条件で静止立位保持5分後および立位荷重移動運動中のPVを測定した。また3条件で圧迫圧を記録した。圧迫部位4条件での測定順序を対象者ごとに無作為に設定した。【結果】各部位装着下で荷重移動運動中のPV:全ての圧迫部位での静止立位保持5分後のPV間には有意差が認められなかった。立位荷重移動運動中のPVは筋腱移行部で非装着または最大下腿周径部より有意に高値を示した。下腿の各装着部位での圧迫圧:全ての圧迫部位において圧迫圧は静止立位時より100%荷重時に有意に高値を示した。いずれの運動条件においても最大下腿周径部で筋腱移行部またはアキレス腱部より有意に低値を示した。
すべて 2020 2019
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 3件、 招待講演 1件) 図書 (2件)
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