研究実績の概要 |
IL-17A/IL-17A受容体複合体の立体構造をX線解析して、受容体結合部分に結合可能な化合物の立体構造を予測し、さらにその予測された構造の受容体との結合シミュレーションをコンピューター上で行なった。これらにより得られた情報を用いてIL-17A結合阻害剤として適した化合物、すなわち候補化合物を低分子化合物データベースの中から探索し、4種類の低分子化合物;STK630921(STK), PB203263256(PB), Z92151850(Z9251), P2000N-53454(P2000)をIL-17A結合阻害剤候補化合物として評価した。 これら4種類のIL-17A結合阻害剤候補化合物それぞれ50μg/mlを、IL-17A50ng/mlと共にラット椎間板髄核細胞(NP細胞)に投与し評価した。その結果、これら4つのIL-17A阻害剤候補化合物の全てが、前年度までの評価においてIL-17A投与24時間後に上昇したIL-6, COX2, MMP-3,MMP-13のmRNA発現を有意に抑制すことを確認した(n=3~5,p<0.05)。また、IL-17A阻害剤候補化合物群の内で最も結合親和性の高いSTK630921(STK)50μg/mlをIL-17A50ng/mlと共にNP細胞に投与すると、24時間培養後のIL-6とCOX2のタンパク質発現がIL-17A単独投与群と比較して有意に抑制されることを確認した(n=3,p<0.05)。 次にアルシアンブルー染色を用いて、細胞外基質の主体成分であるグリコサミノグリカン産生量を評価した。IL-17A50ng/ml単独投与下で8日間培養したラットNP細胞群では、グリコサミノグリカン産生が無処置群と比較して有意な減少を呈したが、STK50μg/mlとIL-17Aを共に投与した群では有意な改善を示した(n=3,p<0.05)。
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