既報に従って受動喫煙によるラット椎間板変性モデルの作製をした。タバコは両切りショートピースを使用した。SDラットを上記の自動受動喫煙装置内で8週間飼育し椎間板変性を誘導した。18頭のSDラットをランダムに、DFAT群、PBS群、Control群の3群に群分けした。DFAT群は8週間の喫煙下で0週、2週、4週、6週の時点で0.5ml PBSにラットDFATを溶解し、尾静脈から静脈内投与した。PBS群は、8週間の喫煙下で0週、2週、4週、6週の時点でPBS 0.5mlを尾静脈より投与した。Control群は非喫煙下、非投与でDFAT群、PBS群と同様に8週間飼育した。組織学的検討では、HE染色ではDFAT群は、髄核組織構造は保たれており細胞密度の減少もPBS群に比べ軽度であった。線維輪や軟骨終板には明らかな異常は認められなかった。Alcian blue染色ではDFAT群は、髄核組織のAlcian blue陰性領域が少ない傾向で、線維輪や軟骨終板は、3群間に明らかな差を認めなかった。EVG染色では、DFAT群は髄核組織中の弾性線維の低下が軽度で、線維輪や軟骨終板には3群間で明らかな組織学的変化は認められなかった。プロテログリカン定量は、DFAT群でプロテオグリカン量の減少が抑制された。髄核組織のRT-PCRでは、DFAT群のSox9は、PBS群と比べて遺伝子発現量の低下が抑制された。アグリカンの遺伝子発現量は、DFAT群はPBS群と比較し、アグリカンの遺伝子発現量の減少が有意に抑制されていた。DFATの全身投与は、受動喫煙による髄核組織の変性やプロテオグリカン量の減少を抑制し、軟骨関連遺伝子の発現低下を抑制した。
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