研究課題/領域番号 |
17K10950
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研究機関 | 大阪医科大学 |
研究代表者 |
根尾 昌志 大阪医科大学, 医学部, 教授 (80311736)
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研究分担者 |
横田 淳司 大阪医科大学, 医学部, その他 (10449564)
近藤 洋一 大阪医科大学, 医学部, 教授 (40284062)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | C5麻痺 / 脊髄後方移動 / 神経伸長 / ラット / 血液神経関門 |
研究実績の概要 |
本研究は、頸椎後方除圧後の合併症である術後遅発性上肢麻痺(術後C5麻痺)の病態解明を目的とし、①ラット頸椎後方除圧・前弯増強モデルを用いた動物実験②ヒト系統解剖用屍体を用いた組織学的研究 より成る。当初の予定では平成29年度は①動物実験を、翌年度以降に②解剖用屍体を用いた研究 を行う予定であったが、本年度も解剖用屍体が2体使用可能となり、①②を並行して行った。 動物モデルでは手術手技を改良し、術中の神経損傷のリスクが大幅に減少した。術後は運動誘発電位(motorevoked potential; MEP)による電気生理学的評価と行動評価、脊髄造影後CTを行い、遅発性の伝導障害が出現するが前肢の痛覚過敏は生じておらず、ラット頸髄は手術的に前弯を増強、後方除圧のみのどちらでも後方に移動していることが明らかとなった。脊髄造影後CTの撮像条件をより高精度にすることで、運動神経である頚神経前根の状態を詳細に評価できるようになった。現在のところ手術手技改良の後に検討可能であったN数は一桁であるが、これらの結果より本モデルは、臨床C5麻痺例の病態解明に有用な動物モデルであると考えている。 ヒト解剖用屍体による研究では、29年度中に標本採取の手法、採取標本の脱灰、固定、薄切、染色法につき様々なトライアルを行い、それぞれのプロセスに最適なプロトコールを確立することが出来た。その結果、今後はより効率的な標本作成が可能になることが期待される。一方で、頸椎術後に頸髄の後方移動が生じた際に、神経伸長損傷発症の重要な要素になると考えられる組織は未だに複数の候補があり、今後も検討が必要である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定と異なり、研究初年度よりヒト系統解剖用屍体を用いた実験が可能となったため、標本採取後のプロセスに関するプロトコールが初年度に確立できた。その結果、30年度はより効率的な標本作成が可能になることが期待される。一方で、動物実験では神経損傷を生じにくい手術手技の開発に時間を要したため、摘出標本の組織学的評価はまだ開始できていないため、30年度中に組織学的検討を行うことを予定している。
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今後の研究の推進方策 |
30年度は、動物実験では統計処理が可能な程度にN数を増やし、本モデルが臨床C5麻痺例の病態解明に有用な動物モデルであることを海外学会(Annual meeting of Orthopaedic Research Societyなど)で発表し、論文投稿を目指す。それと共に、上肢筋力評価のため、昨年購入を検討していた小動物用握力計を購入し、筋力の経時的変化を実験するとともに、ラット標本の組織学的評価を行う予定である。ヒト組織学的検討では、本年採取可能な系統解剖用屍体すべてにつき、頚神経周囲の組織学的検討を完了し、ことらも学会発表、論文作成を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
昨年度購入を予定し、予算を計上していた小動物用握力系の購入が遅れたため。次年度使用額より、30年度同握力系の購入を予定している。
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