研究計画に従い、2018年度に骨髄血、骨髄由来間葉系幹細胞、脂肪由来間葉系幹細胞の各々について特性評価を行った。 2019年度は安定して疾患再現可能な動物モデルについての評価を行い、より成熟した動物個体(12-14週齢相当)では比較的安定して疾患再現可能であることを確認し、動物モデルへの細胞投与試験に ついて、自家移植ではなく同種移植として骨髄血単独での移植ではなく骨髄血から単離された骨髄細胞を移植することにより安定した移植形態で実験を行うことが可能になった。参考論文に準じて、8週齢SDラット雄の大腿骨に1.25mmのK-wireを刺入後、骨幹部に4mmの骨欠損を作製し、8週齢SDラットに骨欠損型難治性骨折モデルを作製した。他方、モデル作成2週後に別に用意した8週齢SDラット雄の大腿骨・脛骨および脂肪細胞を採取し、ラット大腿骨・脛骨から骨髄細胞を採取した。採取した骨髄細胞の一部から間葉系幹細胞を単離培養し、他方脂肪組織からは脂肪由来間葉系幹細胞を単離培養し、その後2週間の培養・継代で1×10の7乗個の細胞数を確保した。難治性骨折モデル作製4週後に骨欠損部に骨癒合がみられないことを確認し、骨髄細胞・骨髄由来間葉系幹細胞・脂肪由来間葉系幹細胞をそれぞれ1 ×10の7乗個の細胞数を移植し、骨癒合を評価した。この結果、コントロールでは骨癒合がみられなかった一方、骨髄由来間葉系幹細胞、脂肪由来間葉系幹細胞を移植した群では高率に骨癒合がみられた。結果は今後学会報告および論文誌上での公表を見込んでいる。
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