研究課題
半月板は膝関節において、大腿骨顆部と脛骨プラトーの間の内外側に1つずつある線維軟骨組織であり、荷重時等に関節軟骨や軟骨下骨に加わる応力を分散させるshock absorberとして極めて重要な機能を担っている一方で、一度損傷すると自己治癒能力が極めて乏しい組織である。特に中高年者に多い加齢変性をベースとした損傷は、変形性膝関節症の発症や進行の大きなリスク因子となるものである。本邦においては多くの症例で損傷部を切除するしか有効な治療法が存在せず、確立された再生医療は現時点でもないため、新たな治療法の開発が待たれている状況である。iPS細胞を始めとしたヒト多能性幹細胞は、培養増幅に制限が無く、細胞量もほぼ無制限に得られるという大きな利点がある。また一般に、多能性幹細胞から分化誘導した細胞および組織は、再生能力が非常に高い胎児の細胞・組織に近いものとみなすことができる。以上のことから、多能性幹細胞は、半月板等の様々な分野の再生医療にとって、非常に有用なセルソースとなるポテンシャルを有しているものである。我々は当研究室で開発した、2種類の低分子化合物の組み合わせによる簡便かつ高効率なヒト多能性幹細胞の軟骨細胞への分化誘導法を応用して、様々な追加のfactorを加えることにより、半月板細胞に近い性質を持った細胞への分化誘導を試みている段階である。本研究課題に関しては、今後更なる検討を行っていく予定である。
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すべて 雑誌論文 (18件) (うち国際共著 3件、 査読あり 18件、 オープンアクセス 6件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 2件)
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