研究課題/領域番号 |
17K10958
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
早乙女 進一 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 寄附講座准教授 (20401391)
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研究分担者 |
大川 淳 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 教授 (30251507)
吉井 俊貴 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 准教授 (50583754)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 骨折 / 骨癒合促進 / ハイドロキシアパタイト・コラーゲン複合体 |
研究実績の概要 |
注入型HAp/Colペーストの作製:骨折部位の投与するためのHAp/Colペーストの作製を試みた。生食を混合しただけで作成したペーストが移植後早期に拡散してしまうことを受けて、拡散予防に血漿をつなぎとして使用することを考案し試作を行った。血漿はキレート剤としてクエン酸を含んだ凝固抑制剤を用いて作成したが、HAp/Col線維と混合するとHAp/Col自身からクエン酸のキレート効果を中和するほどのCaイオンが溶出しだまができてしまうことが分かった。これはクエン酸の濃度を高めても改善しなかった。だまにはなってしまうが注入は可能であり、だまの状態でも拡散防止効果があるか、今後、in vitroにおいて確認を進める。また、よりスムースに注入できる注入型HAp/Colを作成するためにヘパリンの併用なども今後は試みる予定である。
BMPの併用効果:骨癒合促進には、Bone Morphogenetic protein(BMP)の併用も有効な手段である。BMPは骨誘導能を有することから、骨欠損が大きい骨折などの際に使用することが想定される。その場合、インプラントは骨折部周囲の筋肉組織に露出することになり、筋肉由来の細胞がBMPの骨誘導能により骨組織を形成する。そこで、HAp/Col±BMPをラットの筋肉に移植し骨誘導効果を確認した。すると、BMPの有無に関わらず、HAp/Colの筋肉内の移植部位では漿液腫が形成されてしまうこと、またその原因が滅菌に用いたガンマ線照射であることが分かった。ガンマ線照射していないHAp/Colを移植した場合にはBMPにより筋肉内に旺盛な骨形成が誘導されたのに対し、ガンマ線照射した部位では、漿液腫を取り囲むような殻状のわずかな骨形成が確認されるのみであった。現在、漿液腫形成にたいして、対策を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
1. 想定はしていたが、注入型HAp/Colペーストの調整法に思いのほか難渋してしまっているため。
2. 臨床応用を想定して、臨床で使用されているHAp/Colと同じガンマ線照射したもので検討を行ったが、筋肉内において漿液腫を形成するという想定外の事項が確認されたため。
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今後の研究の推進方策 |
1. よりスムースに注入できるような注入型HAp/Colを作成するために、使用する血漿に関して、キレート剤だけでなくヘパリンの併用などを試みる。
2. 筋肉内で漿液腫が形成されてしまうことに関しては、ある手法を用いることで、漿液腫形成が抑制できる可能性が予備試験で確認されたので、漿液腫形成にたいする抑制効果を確認するとともに、この手法にBMPを併用した場合の効果について確認を進める。
3. 上記の手法を組み合わせることで、骨癒合促進効果が得られるか、ラットの骨切りモデルで確認を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
購入物品の購入金額にわずかな差があったため、少額ではあるが次年度への繰り越しとした。
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