研究課題/領域番号 |
17K10959
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
山田 剛史 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 非常勤講師 (40645727)
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研究分担者 |
阿江 啓介 東京医科歯科大学, 医学部, 非常勤講師 (20376726)
早乙女 進一 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 非常勤講師 (20401391)
大川 淳 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 教授 (30251507)
吉井 俊貴 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 准教授 (50583754)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 多孔質HAp/Col / カルボプラチン / パクリタキセル / BMP-2 |
研究実績の概要 |
1.骨欠損モデル(正常組織)におけるカルボプラチン含侵HAp/Colの評価 昨年度は乳がん治療に使用される抗がん剤であるパクリタキセルを用いて正常骨内へ移植し、正常組織の修復に対する影響を評価した。今年度はパクリタキセルと同様に乳がん治療に使用されるカルボプラチンで同様の評価を行った。カルボプラチンインプラント:多孔質HAp/Colにカルボプラチン溶液を含侵させインプラントとして用いた。移植手術:ラットの大腿骨に骨孔を作成し、移植した。評価:CT撮影、組織学的評価を行った。結果:カルボプラチンを含まない多孔質HAp/Colを移植した部位では、移植後4週において旺盛な骨形成が認められたのに対し、カルボプラチン含侵多孔質HAp/Colを移植した部位では、移植後4週において、インプラントの気孔内部には細胞の侵入もほとんど認めなかった。しかしながら移植後8週めには旺盛な骨形成をみとめカルボプラチン含侵HAp/Colを移植した部位でも骨再生は進んでいるのが確認され、これは昨年度検討を行ったパクリタキセルよりも早く骨再生が生じたことになる。これはカルボプラチンの薬理作用がパクリタキセルよりも短期間しか維持されなかったことを示していると考えられるが、パクリタキセルが脂溶性であるのに対しカルボプラチンが水溶性であり、よろ早く多孔質HAp/Colより放出されたためと考えられた。 2. パクリタキセル含侵多孔質HAp/ColとBMP-2の併用効果の検討 パクリタキセル含侵HAp/ColにBMP-2も含侵させ、ラット大腿骨に作成した骨孔(正常骨)に移植を行い、マイクロCTによる経時的評価を行った。マイクロCT評価ではパクリタキセル単独に比べ、より早く骨再生が進んでいたことが確認された。今後さらに組織学的評価を加える予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
正常骨内に抗がん剤含侵多孔質HAp/Colを移植した検討では、ほぼ当初の予測通りの結果が得られ、また、乳がんの骨転移モデルを用いた検討でも予測通りの結果が得られている。また、マイクロCT評価までではあるが、抗がん剤とBMP-2との併用効果も確認されており、ほぼ予測通りの結果が得られている。
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今後の研究の推進方策 |
多孔質HAp/Colに抗がん剤とBMP-2を併用することが、がんの骨転移により生じた骨欠損の再生に有効であるか、組織学的評価などさらに詳細な検討を行う。また、ラットの乳がんの骨転移モデルを用いて、多孔質HAp/Colに抗がん剤、およびBMP-2を併用した際に、がんの再発など、肝心ながんの骨転移治療に悪影響がないか、また実際に生じた骨欠損の再生に促進的な効果があるかなどを確認する。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度の実験に関して、一部の評価が遅れた関係で、使用する予定であった消耗品が購入されていなかったため。次年度に使用予定である。また、一部の動物実験が年度内に実施できなかったため予算の執行が遅れているが、次年度実施予定としている。
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