研究分担者 |
阿江 啓介 東京医科歯科大学, 医学部, 非常勤講師 (20376726)
早乙女 進一 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 非常勤講師 (20401391)
大川 淳 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 教授 (30251507)
吉井 俊貴 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 准教授 (50583754)
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研究実績の概要 |
昨年度までは、多孔質HAp/Colに抗がん剤(パクリタキセル、カルボプラチン)を含侵させたインプラントを骨孔内に移植し骨欠損修復への影響を評価したり、同時に乳がん細胞を同時に移植することで転移性骨腫瘍に対する治療効果などを評価した。本年度は整形外科領域における難治疾患である骨髄炎に対する局所療法に関する検討を行った。 抗菌剤の吸着性:数種類の抗菌剤をHAp/Colに含侵させ、絞り出した液に含まれる抗菌剤濃度を測定することでHAp/Colに対する抗菌剤の吸着性を評価した。その結果、VCM, MINO, TEIC, DPTなどが吸着することが分かった。 in vivoでの抗菌力評価:ラット皮下に各種抗菌剤を含侵させた多孔質HAp/Colを移植し、経時的に摘出した。これを黄色ブドウ球菌を含んだ寒天培地に埋入し培養した。多孔質HAp/Colに吸着する抗菌剤に関しては移植後2週間を経過しても抗菌力が維持されていることが確認された。対して吸着しない抗菌剤に関しては移植後1日で既に抗菌力が消失していることが確認された。 骨髄炎モデルでの評価:ラット大腿骨に直径1mm骨孔を作成し黄色ブドウ球菌の菌液を注入した。1週間後に注入部の骨孔を直径3mmまで拡大し、生理食塩水で洗浄した。そこへ吸着する抗菌剤の代表としてVCMを含侵させた多孔質HAp/Colを移植した。また、吸着しない抗菌剤としてCEZを含侵させた多孔質HAp/Colを、コントロールとして生食を含侵させた多孔質HAp/Colを移植した。その結果、VCMを含侵させた多孔質HAp/Colで最も良く骨髄炎の進行を抑制し、かつ菌量も減少していることが確認された。 多孔質HAp/Colに吸着する抗菌剤を組み合わせることで、局所に高濃度の抗菌剤を投与できるだけでなく長期に抗菌力が発揮されることが確認された。難治性疾患である骨髄炎の治療法として期待される。
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