研究課題
本研究は、骨軟部腫瘍手術で切除した骨軟部組織欠損に対して、採取が容易で細胞数が多くとれる脂肪由来幹細胞(以下ADSC)を用いて再生医療を行うことを目標とした。in vitroにおいて、ADSCによる凍結自家処理骨再生能を検討し骨芽細胞のSmadシグナルやJNKシグナルが有意に活性化、骨形成を促す液性因子を産生している可能性が確認され、in vivo実験モデルで、ラットの大腿骨骨幹部を摘出し,摘出骨を液体窒素にて凍結処理し,再移植した。ADSCを添加することで、骨再生が確認されたが、移植したADSCにDiIによるラベリングを行い、幹細胞の生存、局在を確認した。移植後4週で移植骨を摘出し、蛍光顕微鏡でラベルされた細胞を観察したところ、液体窒素処理骨の周囲の軟部組織に局在して生存していることが確認された。In vitroでのBMPの発現効果などとあわせ、ADSCは骨に直接分化したより、周囲に存在して骨形成サイトカインを分泌し骨形成を促進したと考えられた。ADSCによる骨軟骨再生のさらなる応用のため、人の移植治療に用いられた検体やデータから解析も行った。腹部皮下脂肪から採取分離した脂肪由来幹細胞で、変形性膝関節症患者の治療を施行された4例から臨床情報を得た。脂肪吸引量は平均206ml、総細胞数2.7x10^7、生細胞率91.6%であった。移植後6ヶ月で疼痛スケールは移植前平均2.2から1.2に改善、JKOOSは67.8から81.5に改善していた。移植前の関節症の重症度の定量化のため、患者血中ヒアルロン酸濃度と関節液中IL-6を測定し、臨床経過との相関を検討したが、今回の症例内では結論はでていない。
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J Transl Sci
巻: 5 ページ: 1-7
10.15761/JTS.1000329