研究課題
膝人工関節置換術施行予定および術後患者の被験者募集は50名程度をめどとして研究代表者および研究分担者の在籍する大阪大学医学部附属病院および東京大学医学部附属病院から行った。研究開始時から被検者約200名となった。手術前および手術後の患者に対してX線透視装置を用いた膝関節動態の撮影を行った。撮影動作は主に歩行動作・階段昇降動作・深屈曲動作など日常生活に必要な動作とした。撮影した透視画像に対して、我々の教室で独自に開発されたコンピュータソフトを用いて人工関節置換術前および術後の膝関節3次元動態解析を行った。3次元的な解析には人工関節および骨の3次元モデルが必要となり、各人工関節メーカーや埼玉工業大学医用画像解析学研究室に依頼をして作成した。動態解析結果の成果として、添付の論文を大阪大学および東京大学から発表した。①後十字靭帯温存型人工膝関節置換術において脛骨骨切りの後方傾斜が後十字靭帯の残存線維束に影響を与えること②新しいデザインである両十字靭帯温存型の人工膝関節は、正常膝や人工膝関節単顆置換術と比べると回旋量や前後移動量は小さいもののキネマティックパターンは同様であること③両十字靭帯代償型の人工膝関節の荷重下深屈曲動作の動態では、屈曲に伴う後方移動を認めるものの屈曲中期の内側前方移動は小さいこと④関節動態の新しい座標系による評価法の確立により、現在の人工膝関節の多くが正常膝ほどの急峻なscrew home運動を示さないこと以上の知見を得ることができた。人工膝関節術後動態解析のビッグデータにより、人工関節形状、手術手技、解析手法による複合的な要因が術後の膝関節動態に影響を及ぼすことが示唆され、今後このビッグデータから統計学的手法を用いて因子分析を行っていく予定である。
すべて 2020 2019
すべて 雑誌論文 (10件) (うち査読あり 8件) 学会発表 (14件) (うち国際学会 2件、 招待講演 2件)
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